長編小説
□題名のない物語
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莫大な土地、そして そこに見合った大きなお屋敷きがあって、その屋敷きの中では、わりと小さめな(しかしながら、一般ピープルから見ればかなり広いと思われる)部屋の窓を全開にし、そこからはこれでもかというほど埃が立ち、舞って出ている。
その埃だらけの部屋の中には一人の人影があり 頭は三つ編みに三角巾、手には右手に雑巾、左手にはモップを持ち そして、どう見ても大掃除には適していないひらひらという擬音ぴったりのメイド服。
しかし、そんな事は気にも止めず一人の少女は埃まみれになりながら、いったい何時から放置すればこんな風になるのだろう 疑問いっぱい 汚れいっぱいの部屋をものすごい勢いで掃除していた。
ふきふき、ごしごし、ふきふき、ごしごし………
そして、時々手を止めては大きな溜め息を吐き、また掃除の繰り返し。
溜め息の理由は決して掃除が嫌だからという訳ではない。
時刻はすでに黄昏時
かなり前から掃除に取掛かっているのだが…さすが全く手を掛けていない部屋だけあって、とても時間がかかってしまったのは確かなのだが…。
少女はとても手際よく掃除を行い、後少しで掃除も火急を迎えようとしていた。
そう、このまま何も起らなければ…。