猿に首輪(仮)

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そしてクラスマッ三日目まで時間は進む。
三日目の朝、ホームルームにはまだ集まるには早い時間だが全員が集まっていた。
「皆さん!先日までの総合順位が分かりました!」
そう言いながらホームルームに入って来たのは学級委員のパパラチアだ。
「現在わたくしたちは二位です!」
その一言に、ほぼ全員がどっと沸いた。
まさかの高順位に驚いているのだろう。
まだ全種目が終わったわけでは無いのだからまだ安心はできない。
「それも一位の1Cとは一点差ですわ!」
「やっぱ1Cか〜」
「だろうなー」
「予想通りっちゃ予想通りだよな〜」
「ですが、まだ逆転は可能です!今日から始まるサバイバルゲームで高順位になれば優勝も間違いないです!」
握りこぶしを挙げて、パパラチアは力説する。
それに鼓舞されてクラス中が高揚している。
良いことなのだが、それをルビィは静かに見ていた。
(二位か……)
最初はどうなるか分からなかったクラスだが、それでも二位になれたことは嬉しい。
だけど、ルビィはあくまで一位、総合優勝しか眼中にない。
とりあえずルビィはこの二日間、他のクラスの分析に努めていた。一応ホッケーで選手登録はされていたが、あくまで補欠。応援したくらいで参加はしていない。なんたってルビィはチームプレイが大の苦手なのだから。
ひとまず“二ツ星”以上はおおまかには調べてみたが、あくまでスポーツ競技なのでいかんせん参考にはならなかった。属性が分かったくらいだが、それくらいは誰にだって調べられるし、1Aの“星”事情もバレている。
なにより痛いのは―――。

『えぇええええええ!?『宝星色素方陣』禁ぃいいいい!?』
『だから確認とったじゃないですか!『よろしいですね!』って!』
『聞いてな―――い!』
『アレは完全に反則技じゃないですか!当然です!』
『必殺技禁止とか何それふざけんな!』
『バランスが崩れるんです!じゃなかったらとんでもないハンデありじゃないとできないと言われたんです!』

(なんで禁止なのよぉ……)
二日前にパパラチアとの会話が今でも脳内で再現される。
あれさえあれば総合優勝なんて楽勝だと思っていた。なのに禁止とかふざけんな。
(だったら他のクラスでも使えばいいじゃん―――って無理なのか)
本来ならば“七ツ星”が扱う魔術なのだ。それを“三ツ星”のルビィが扱える方がおかしいのだ。
一応弱点だって存在するのに。
「はぁ……」
頭を抱えたくなる。
だが、そんなルビィを他所にクラスはますます団結力を増していく。
「さて!今日から本命のサバイバルが始まりますわ!わたくしたちは本日一試合目!相手は1Iです!出場する人も、しない人も!全員で勝ちに行きますわよ!!」
「「「おぉおおおおおおおお!!」」」
元気だ。
ほんと、元気だ。


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