猿に首輪(仮)

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クラスマッチ。
クラス対抗で魔術の技術を競い合うイベント。
中等部と高等部、二種類のクラスマッチが存在するが、お祭り騒ぎになるのはあくまで高等部の方である。中等部はあくまでおまけ。保護者から見たら授業参観と言っても間違いはないほど大人しいものだ。
だが、高等部は違う。
完全に見世物となるイベントだ。
来訪者にはより取り見取りのお祭りだが、高等部の生徒からしてみれば―――熾烈なポイントの奪い合いだ。
このイベントでポイントを大量に稼いで“星”を手に入れるのだ。
大学部への進学や将来の進路の為にもポイントは必要だ。
そして、それはルビィも同じ。
一気に“七ツ星”になるためのポイントを稼がなければ。
しかし―――。
現在ルビィは“三ツ星”だ。
あと少しで“四ツ星”に届くところまで迫ったのだが、時間が足りなかった。
前回と同じように進んでいたら“四ツ星”は簡単に手に入れ、それどころか“五ツ星”に王手をかけるところまで行っていただろう。
だが、今回は条件が違う。
まず、サディスティック俺様貴族ことブラッドが門限をつけていること。
二つ。品行方正な態度で生活するよう心掛けるように言われていること。
そして、最後に。
今度は個人競技ではないと言う事。
ルビィ一人でどうこう出来る問題ではないのだ。クラスの皆と協力してやっと総合優勝イコール大量のポイントとなるのだ。
今回はルビィ一人の技量を上げるのではなく、クラス全体の底上げを図ったのだ。
その指導に何故かルビィが祀り上げられ、仕方なくポイントの為と教鞭を振るったのだが―――周りからは某有名映画の鬼軍曹の様だと言われた。とりあえずルビィは殺されていないが。
ルビィは自分の“星”よりもクラスメートの技術の底上げに力を入れた結果、自分が疎かになってしまったと言うわけだが、意外と―――悪くはない時間を過ごしたと心の中ではこっそりと思っていたりする。


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