猿に首輪(仮)

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「“六ツ星”クエストをクリアしたですって!?」
それからルビィは一人で“三ツ星”レベルのクエストを二つこなし、昼食の時間、近くのカフェでパパラチアと合流した。
そして午前中に何をしていたのか尋ねられたので答えると、そのような反応をされた。
当然と言えば当然だが。
本来“三ツ星”のルビィが“六ツ星”クエストを受けられるわけがないのだから。
「どうやって受けたのです!?」
「どうやってって、ブラッドに頼んだの。アイツ“七ツ星”だし、戦闘狂だし」
「まぁ」
パパラチアはまさに「信じられない」とでも言いたげな表情だ。
羨ましいとかずるいとか思う前に、まず先にルビィに対して呆れている。
パパラチアはルビィと行動をよくするようになってから、ルビィの行動力に度々呆れているのだ。
前はライバル心が先走っていたので、そんな感情は後から遅れてやってくるのだったのだが。
アイスティーのグラスを持ちながら呆れているパパラチアとは反対に、ルビィは話していて先ほどの悔しさが再びこみ上げてきた。
こみあがって来た悔しさを紛らすためにダンッとこぶしをテーブルに叩きつけた。
「あぁーーー!それにしても悔しいーーー!」
「は?」
「魔物三十匹討伐ってクエストだったんだけどさー」
「えぇ」
「あたしが十二匹、スフェン先輩が一匹。で、ブラッドが十七匹だったのー!」
「それで?」
「ブラッドに負けたーーー!」
「いえ、十二匹も倒しただけですごいですって」
「だってー、もうアイツムカつく!」
「……」
最終的に討伐数を伝えられた時の、あのブラッドの勝ち誇ったあの顔!
思い出しただけでも腹が立つ。
合計でしか数えていなかったルビィの落ち度でもあるが、予想以上にブラッドに獲物を取られていた。
“三ツ星”だとか“七ツ星”だとか関係ない。
これが二人の実力差なのだと割り切ってしまえばそれで終わりなのだろうが、やはり―――悔しい。
「パパラチア」
「なんです?」
アイスティーを飲みながら、冷静に返事された。
だが気にしない。
「クラスマッチまでには“四ツ星”になるから」
「ぶっ!?」
ルビィの信じられない宣言に、現在の状況を分かっているパパラチアは思わず口に含んでいたアイスティーを吹き出してしまった。
そうとも。
あと二週間もない状況で、あと約160ポイントも貯めないといけないのだから。



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