猿に首輪(仮)

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その後、コーヒーを二杯追加注文してチーズスフレを完食してからカフェを後にした。
時刻は十九時になろうとしてる頃だ。
空はとっくに真っ暗だが、街灯や店の灯りで暗闇を感じない。
カフェで過ごしているうちに街は夜の街に変化していた。
まもなく新学期が始まるので生徒たちも多い。
誰もが楽しそうにすれ違って行く。
ルビィと違って足取りはとても軽やかだ。
向かう先には楽しみがあるのだろう。
―――羨ましい限りだ。
「……はぁ」
なんだか自分がむなしくて、悲しい存在に思えてきた。
これ以上ここにいたらその気持ちがより強くなるだろう。
ワイワイと騒ぐ生徒たちの背中を見送ってから、ルビィはため息を吐いてから行きたくないところへと足を向けた。
―――悪魔の巣へ。



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