猿に首輪(仮)

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「理事長、悪いけど、あたし、この学園をやめるわ」

王都に近い場所に位置するスマラカタ学園。ここは小等部から高等部、大学まで存在する、国で一番大きな学園だ。
卒業すればエリート確実。
魔術を教える唯一の教育機関。
広大な敷地は都市に匹敵する広さで、人口のほとんどが貴族と従者、教育関係者で占められる。
莫大な学費の為に庶民が入学することはまず無く、また、魔術は貴族だけが扱うものと言う考えが主流の為、貴族による魔術の独占が当然になっている。
その学園に、庶民であるルビィは特待生として破格の待遇でこの春に高等部に入学した。
本人の努力と才能もあって、今まで魔術に触れたことすらなかった彼女は見る見るうちに上達し、在籍する一学年で、いや、高等部で知らぬものがいない存在にまでに成長した。

―――そして半年。

学期が終わり夏季休業の時期がまもなく終わると言う頃。
ルビィは自らの足で理事長室に赴き、書類と格闘している自分の素質を見出し推薦してくれた理事長デマントイドに臆すことなくハッキリと言ったのだ。

―――この学園をやめる、と。


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