short/番外編

□昼休み
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(バレンタイン話。モブ注意。モブ名前固定)


みなさんこんにちは。はじめまして、ただのモブキャラ男子高生です。
・・・とりあえず周りからは佐藤って呼ばれてます。下の名前?あー・・・、もう少し仲良くなったら教えたげるね。どうせただの脇役で、ただのモブキャラなんだし好き勝手に呼んだらいいよ。

自分で言うのもなんだけど、おれ結構真面目な高校生だと思うんだよね。部活も楽しいし、成績も悪くない…まあ良くもないけど。友達もまあまあ多い方かな。クラスみんな男女関係なく仲良いし。

彼女?もちろんいませーん。もう一度言おうか?どっこにもいませーん!だいぶ前だけど一回告ってフラれたんだようるせーな言わせんなっての。
俺ね、軽く見られてるみたいだけど結構一途な方だと思うんだよね。 
少し前に好きな子いたから告ったんだけど、ホラ高校生だしやっぱり彼女欲しいじゃん。まああっさり断られたんだけど。でも何て言うか、・・・告った後のが好きになったかな。もちろん、も一回ぐらいチャンス来ないかなーとか下心もあったんだけど、ま、その子も既に好きな人がいたんだよね。年上ー・・・が、好きだったみたいで。ホラ、俺みてぇなガキには興味無かったっていうの?
まあ、今は普通に仲良いけど。
その子も俺に負けず劣らず一途なんだわ。もう普通に応援するしかねーじゃん。俺がこんな風に思ってるとか絶対言わないけどね。

「佐藤ー」
「なーにー」

昼休み、窓際のこの席は結構な確率で眠くなる。二階にあるこの教室から真向かいにある校舎の一階・・・理科準備室を眺めていたら自分が思った以上にぼんやりしてたらしい

「どしたの?なんかぼーっとしてる」
「・・・あー、意識どっかイってたわ」

声をかけてくれたのは前の席の女子。席が近くなって最近よく話すようになったけど、コイツ、昼は確か隣のクラスまで行ってたんじゃなかったっけ?・・・あーそっか、もうすぐ昼休みが終わるから戻ってきたってことね。

「?まあいいや、ハイ」
「え、なに?くれんの?」
「うん。しかも手作りだよー。愛情いっぱい」

そう言って軽く渡されたのは100均ラッピングを施されたチョコブラウニー、かな?どうみても友達同士での交換用だろうけど何にしてもこの日にチョコが貰えるのは男として嬉しいもんだ。

「まじか。ありがとー。」
「恵まれない佐藤に愛の手を」
「やかましいわ」

コイツのあっさりした所はすげー好き。お互い呼び捨てだし、軽口叩けるぐらいに気ぃ使わないし、なんで今まであんまり話したことなかったんだろ、って思うぐらいに気が合う女子。

「んなら、おれからもあげる」
「は」
「おれも持ってきてんの。もらえないやつらともらったフリして食う用」

取り出したのはバレンタインパッケージなだけで中身はいつもと変わらない個包装チョコお徳用パック398円。

「何それバカなの」
「うるせぇバカだよ」

事実、もらえないやつらともらったフリして食べてそうだけど、ほんとは部活ん時に腹減るから軽く摘まむ用に持ってきてただけのチョコレート。まだ開けてなかった袋を開けてそのまま何個か渡してやった

「ありがとーね。部活の時に食べよっかな」
「おうよ、俺もありがとーね」

昼休みが終わる直前の騒がしい教室の中。前を向き授業の準備を始めたコイツも大概真面目なヤツだと思う。

もらったチョコをカバンにしまい、今日は陽も出てるしそんなに寒くないよな、と思って少しだけ窓開けたけど、入ってきた風で頬がひんやりと感じたのは、なんでだろうな






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