戴(文)

□代われるものなら代わっておくれ
1ページ/1ページ




理事長と生徒。
同じ敷地内にいるのに、会える機会も会える時間も極僅か。
俺は俺で仕事があるし、名前ちゃんは名前ちゃんで授業がある。
サボってもらっても勿論構わない(というか大歓迎)なのだけれど、あまりやりすぎると単位の問題もあるし、それ以前に彼女の担任である自分の息子にやかましく文句を言われてしまう。
外で会うとしても少々目立つし、お陰で可愛い恋人に会える時間は限られていて、基本はメールや電話のみでの会話が殆んどだ。嗚呼全く、何でこうも面倒なことばかりなんだろうか。
大体、同じ敷地にいても相手が何をしているのか分からないと言うのは何とも歯がゆい。
勿論何の授業を受けてるだとかそういうことは分かるのだけれど、どんな風に授業を受けているのかとか、休み時間は友達とどんな話をしているのかとか…もっとそういう、日常の姿が見たい。だから政宗に頼んで、たまに名前ちゃんがどんな風に過ごしてるのか教えてもらっている今日この頃(この時ばかりは自分の息子が心底羨ましい)(代われるものなら代わってもらいたいもんだ!)。心底鬱陶しい気な目でコチラを見ながら名前ちゃんの話をする政宗の姿はもう見慣れたもんだ。
けど
こういう話は、慣れたくないんだよねぇ。
「…で?また男の子と話してたんだって?」
「だーかーらー、男の子っつってもクラスの友達ですから!教室で!その他大勢と!皆で話してたんですよっ!」
「ふーん…」
政宗のクラスは男女問わず仲が良いらしくて、名前ちゃんの話を聞く時必ずと言っていい程男の子の名前も出てくる。
名前ちゃんが言う通り別に深い仲ではない、ただの友達なんだろうけど、こうも毎回毎回話の中に男の子の名前が出てくると疑いたくなくても疑ってしまう。
…それは、自分と名前ちゃんの年が離れているっていう不安のせいもあるんだけれど。
それを言うと、名前ちゃんは深々と溜め息を吐いた。
「…不安なのは輝宗さんばっかじゃないのに、さ」
「え?」
「あーもー何でも無いですよ!ほら早く仕事して!!さっさと時間作って!!」
そう言って仕事を急かす名前ちゃん。本当はちゃんと、何を言っていたのか聞こえていたのだけれど、それは言わずにおいておこう。

…口元が緩んでしまうのは仕方がないけれど。
可愛い可愛い恋人との時間を一秒でも多く過ごす為、目の前の仕事をさっさと終らせることにしようか。

-おしまい-


(お礼)
おーやーじ!おーやーじ!(…何この突然の親父コールwww)もう…ね、
ゴールデンコンビですよね。理事長×潮ちゃんってのが。政宗先生ちょう不憫www委員長ってば、さすがです←
ありがとうございました!!
一ノ瀬 都


.


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ