かけらことばのおんなのこ
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「確かに……漫画賞やオーディションより、ひょっとしたら多くの人に見てもらえるかもしれないよね!」
「……椎の言う通りだ。絆がどうとかはちょっとよく分からないけど、これは面白そう」
「ってことは、映もやってくれるんだね?」
「もちろん。泰ちゃんだけが絵描きじゃないんだ」
壹、椎菜、映、そして泰都がそれぞれ力強く頷き合って、
「……なによ」
そして桃花を見た。
「やろうよ、桃」
「喧嘩してる場合じゃないよ」
「桃がいないなんて」
「つまらないよ!」
椎菜、泰都、壹、映、の順で、桃花に詰め寄る。
桃花はしばらく彼らを睨みつけてから、
「……後悔しても、知らないからね!」
にやりと笑った。
「よし! 皆で頑張ろ! 大ヒット作を作れば、企業の目に入る可能性だってあるしね!」
「そうそう!」
「何事もポジティブにね!」
「やるぞー!」
「おー!」
こうして水曜メンバーズが揃って拳を天に突き上げた。
「……なあ蘭奈」
「なに」
「お前の怠慢が、気づいたら良い話になってるんだが」
「うん……若さってすごいね……」
「お前はババアか」
* *
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