かけらことばのおんなのこ

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 一方で涼太はというと、山岸のどかを知る人物を探しては、一緒に写ってもらった写真を見せびらかして自慢するのに大忙しだった。ショックはとっくの昔にやわらいだそうだ。
 放課後になった今もこうして、キャンペーンに余念がない。俺は蘭奈を待ちながら、涼太がクラスの女子相手にまくしたてるのを見ていた。
「慶太……おまたせ……」

 弱々しい声がしたのでそちらを見ると、蘭奈が見事なまでの作り笑いを顔に貼り付けてこちらに近づいてくる。

「おお。帰るか」

「お、おう」

「どしたよ?」

「いや、えっと。あはは……」

「なんだよ、気味が悪い。言ってみなって。お兄さん聞いてやるから」

「うん……あのね、私さ、友達に誘われてイラスト研究会とかっていうのに入ってたの」

「え」

 そんなの初耳だ。

「いつから?」

「一年の五月くらいかな。出なくても良いからって言われたから入るだけ入って、一回も出てなくて」

「おい」

「だって絵とか描けないし! ―――それがさ、文化祭に出す作品が少ないから蘭奈も何か出してって言われてさ。急に!」

「……出せば」

「無理! 話聞いてた? 絵なんか描けないの!」

「ならなぜ入った」

「だからあ! 友達が一人で入るの怖いから一緒に入ろうって! 何もしなくて良いからって」

「で入ったのかよ。意味が分からん」

「ぐうー。このやろう、言わせておけば……もう、でも、いいよ。この際なんでもいいから、力貸して!」

 ぱん、と手を合わせて懇願してきた蘭奈に、俺は困惑した。

「断れないのか?」
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