かけらことばのおんなのこ

□はるせとつくし
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   *   *





「そういえば、今大学通っているんですけど、」



「おや。月雫さんがですか?」



「ええ。意外でしょ?寮に入って、ギリギリ頑張ってます」



「へえ。驚きました」



「あ、でもこれは序の口でして。――実はその大学に、彼の西間慶太がいるんです」



「……へえ。彼が」



「驚きましたよ。思わぬところで再会しましたから。さすがといいますか、学部一の秀才です」



「流石ですね。向こうは、月雫さんのことは?」



「……。覚えてないみたい。まあ無理もないです。髪も切っちゃったし、服装も違いますから」



「…そうですか。残念ですね」



「まあ、今はどうでも、彼は確実に『かつての想を救ったヒーロー』です。そのことに変わりはないですから」



「ええ。彼には感謝の言葉もありませんね」



「全くです。他にも、蘭奈さんや順子さん、泰都さんに紗綾さん、想の店のお客様だった人はみんな」



「全くもって、その通りです」




「…そろそろ、おいとまさせていただきます」



「それが良いでしょう。お嬢様も、もうすぐお帰りになります」



「それは大変ですね。鉢合わせしないようにしないと」



「ええ。では。またお越しください。この時間帯は、お嬢様はいつも出ていますから」



「ありがとうございます。また来たいです。――では、また」



「さようなら。――あ、お待ちを。一つ聞いても?」



「はい?」



「藤名月雫というのは、本名ですか?」






「……。さあ、どうでしょうね?」





 





 
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