かけらことばのおんなのこ

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 有田が呟き返したところで、

「あっらー、なんか囁いてるー!」

「らっぶらぶー」

「あーちちあちちぃ」

「やだねえ最近の若いもんはー。あれー、僕の方が若いや」

 ぎゃははははー、と双子ーズ大盛り上がり。

 色々面倒くさそうだな。
 そう思わざるをえなかった。

「で…、ええっと、」

「僕が映だよ」

「僕が壹だよ」

「あ…じゃ映くん、ここはどういうお店なの?」

 俺が尋ねると、なぜか壹が答える。

「手芸屋さんだよ。マスコットとか、マフラーとか」

 言葉を引き継いで、映も口を開く。

「商品は、全部お母さんの手作り。時々、この派手ちゃん二人が作ってるけど」

 派手ちゃん呼ばわりされた二人が、派手ちゃん言うなーと騒いだ。

「あとはねえ、真ん中に置いてあるテーブル席とかはね、自由に使って良いんだよ」

「まあ要するに、お店っていうよりかは多目的室って感じ」

 俺と有田は揃って面食らった。

「そ、そんな店もありなの?」

 有田が言えば、

「さあ?でも僕ら商売やる気ないし」

 映がさらりと受け流し、

「それでよく想が許したな」

 俺が言えば、

「まあ、一応は手芸屋ってことになってるからね」

 壹がさも何でもないことのように言う。

 おまけに、と桃花。

「想チャンって、自分のお店以外、全然興味ないみたいだしね」

 すると椎菜も同意して、

「そうそう。一回も降りてこないもんね」

「アタシ達見たこと無くない?」

「ないー」

 ここまできて、有田が乱入。

「はいはーい。せんせぇ質問ー」

 どこに先生がいらっしゃるのよ?
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