お題小説

□プリンな話
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『プリンな話』



 ある日。
 宿の冷蔵庫前で、アルマが震えていた。

 ユファが尋ねる。

「どしたのアルマ。寒い?」

「違う!冷蔵庫開けてその前で震えるってどんなバカ?」

「けど震えてんじゃん実際」

「寒くて震えるやつがって意味!」

「ふーん。で、じゃどうしたの?」

「それが…、俺がずーっと大事にしていたな、」

「ふむふむ」

「大事にしていた――が無いんだ」

「え?なになに、聞こえなかった」

「だから、――が無いの」

「はい?」

 ぷつん。
 アルマ、キレた。

「だーかーら、無いの!」

「何が!」


「プリン!」


「……はあ?」

 ユファは呆れ、間の抜けた声を出した。
 一方アルマは、取り乱して叫ぶ。

「俺の!俺の大切なプリン様がお無くなりになったんだよ!」

「いや、言い方変。死んじゃったみたいに聞こえる」

「そうさ!お無くなりになったのさ!」

「そんな…たかがプリンで…」

「たかがじゃない!プリンだよ?――しかもぷっちん付きだよ?ぷっちんするとプリンがぷるんだよ?」

「あー、はいはい。要はぷっちんがやりたかったのね」

「ちくしょう、誰だ俺のプリン様食べたのは。…ユファ、お前か」

「なんでよ…僕プリン嫌いだもん」

「む…そうなると…リューか」

「…ぽいけど…」

 二人の視線の先で、リューは、

「くー…」
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