お題小説
□おにごっこな一日
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「あ」「あ」「あ」「あ」
声が四つ重なった。
その次の瞬間、ボールはぼこっと音を立てて着地する。
不幸にも、ベンチの上に横たわる人間の頭の上に。
四人の顔が、蒼ざめていった。
* *
数分前。
疲れたと駄々をこねたリューは、そのまま誰の許可も取らずにベンチに横になって寝てしまった。
本当はもっと進みたい一同だが、起こすわけにもいかず。
仕方なく、彼が起きるのを待つことにした。
しかしその間、暇を持て余した一同は退屈してしまう。
アルマはぼうっとしながら公園内をうろうろ、タオは読書、ユファはスコアの整理、ナッシュは鳩を追いかけ回していた。
そうして十分ほど経ったとき、アルマは野球ボールが落ちているのを見つけた。
それを見て、元球児魂が燃え上がる。
「ねえ、キャッチボールしない?」
そしてアルマは、そう提案する。
タオ、ユファ、ナッシュはアルマを見て、
「…止めた方がいいと思う」
「いいんじゃない?」
「おお、やろうやろう!」
賛否両論を展開。
「じゃあ、みんなで四角作って時計回りで投げるのね」
アルマはしかし、反対論者タオの意見を華麗に無視し、それどころか加害者に巻き込み、
「ちょっと、止めた方がいいって!絶対何かやらかすんだから」
タオの予想が実現するなんてことは、なんだかんだ予想の範囲内でありながら、無理やりキャッチボールを開始した。
そして開始から三分後。
元球児でもなんでもないノーコンナッシュが、
「あ!しまった」
超が付くほど寝起きの悪い男、リューの頭にボールをぶつけたのであった。
四人は一斉に逃げ出した。
ばらばらになればいいものを、皆一緒に。
それだから、頭をさすりながら起きたリューは、