Forever

□レイダの休日
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 レイダは悪態をついて、椅子から立ち上がり、玄関に向かって、

「…む」

 “あの兄妹”が放つオーラを、敏感に感じ取りました。
 レイダは忍び足でドアに近づき、覗き穴から外を見ました。

「……」

 “あの兄妹”が、いました。

「……」

 レイダは静かに扉から離れ、いそいそと部屋に戻りました
 ドアを静かに閉め、息を殺して机に向かい、静かに息を吐きます。

 ――あの二人に捕まったら、予定がめちゃくちゃになる。

 大した予定でもないくせに、レイダはそう思って、居留守を使うことにしたのでした。



 五分ほど、経過しました。

 チャイムはあれから一度も鳴らず、家は静まり返っていました。
 レイダは、静かに問題を解いていました。

「……」

 ――今、何時だろ。
 ふと気になったレイダは、視線を時計にやって、

「……」

 その際、窓の外に紅いものを見ました。

「……」

 嫌な予感。ものすっごい嫌な予感。
 レイダは恐る恐る視線を窓に移して、

『お、やっと気づいた!』

 そこに張り付いた、紅蓮の髪を持つ少女を見ました。
 にたあ、と笑う、紅蓮の瞳を見ました。

「ーーーーーっ!」

 声にならない叫びを上げてレイダは飛び上がり、椅子に躓いてひっくり返りました。
 窓の向こうの紅蓮の瞳が、面白おかしそうに細められます。

 紅蓮の瞳は、全部で四つ。
 そのうち二つは、紅蓮の髪、もう二つは、灰色の髪をそれぞれ携えた人間のものです。

 彼らこそ、レイダの予定を崩しかねない“あの兄妹”。

『おうレイダ!久しぶりだな、元気か?』

 灰色の髪の兄が、陽気な声でそう言います。

『レーイダっ!その天才的な頭脳をちょっと分けてよん』

 紅蓮の髪の妹が、陽気な声でそう言います。

「……」

 レイダはそんな二人を無言で見上げ、

「…拒否する」

 カーテンを閉めました。
 兄妹の後ろを、冷たい風が吹き抜けていきました。



「妹よ。どうする?」

「……」

「思ったより…、うん、違う、思った通りの反応だぞ?」
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