Forever

□第五章
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 何の気なしにレイダがため息をつくと、リードが声をかけてきた。
 気づけば部室の中の音は消え、リードもドーラも自分を見ている。

「え、いや…」

「こっちも気分盛り下がるんだよな。何かあるなら聞くから、言ってくれよ」

 リードが優しげに言った。
 その優しさが、レイダを余計に苦しめる。

 言えない。
 あんなこと、言えない。

「なんでもない…」

 もういいや、僕が我慢すれば。
 レイダはそう思って、首を振った。
 自嘲気味に笑って、

「なんでもない」

 繰り返した。

 リードはしばらくそれを見ていたが、やがて諦めたように軽くため息をついて、

「なんでもない訳、なくね?」

 ただ一人諦めていなかったドーラが、低い声で言った。

 レイダが顔を上げて、ドーラを見る。
 リードもまた、それに倣った。

「お前、最近ずっとそうじゃねえか。ため息ついたと思ったら、首振ったり、俯いたり。で、またため息ついて、首振って…その繰り返し」

 レイダは困ったような顔で、ドーラを見た。

 ドーラは顔を背けて、

「それでなんでもないって、嘘くさいにも程がある。こっちの気が治まらねえんだよ」

「……」

「確かに、俺もそう思う。最近のお前、腹が立つ」

 リードまでもが便乗し、恐らく本音であろうことを何の遠慮もせずに言った。

 レイダは困り果てて、押し黙る。

「聞くって言ってんだから、言えよ」

 そこへ、リードが追い討ちをかけた。

「…いや、でも、」

「でも、じゃねえよ。言えって」

 レイダはパニックになった。
 自分の言おうとしている事が事だけに、この険悪な雰囲気の中で言える訳がない。
 誰も冷静に話せないはずだ。

 こんなときに、自分のため息癖が裏目に出るなんて。
 レイダは自分を呪いたくなった。

「レイダ?」
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