Forever
□第五章
2ページ/14ページ
何の気なしにレイダがため息をつくと、リードが声をかけてきた。
気づけば部室の中の音は消え、リードもドーラも自分を見ている。
「え、いや…」
「こっちも気分盛り下がるんだよな。何かあるなら聞くから、言ってくれよ」
リードが優しげに言った。
その優しさが、レイダを余計に苦しめる。
言えない。
あんなこと、言えない。
「なんでもない…」
もういいや、僕が我慢すれば。
レイダはそう思って、首を振った。
自嘲気味に笑って、
「なんでもない」
繰り返した。
リードはしばらくそれを見ていたが、やがて諦めたように軽くため息をついて、
「なんでもない訳、なくね?」
ただ一人諦めていなかったドーラが、低い声で言った。
レイダが顔を上げて、ドーラを見る。
リードもまた、それに倣った。
「お前、最近ずっとそうじゃねえか。ため息ついたと思ったら、首振ったり、俯いたり。で、またため息ついて、首振って…その繰り返し」
レイダは困ったような顔で、ドーラを見た。
ドーラは顔を背けて、
「それでなんでもないって、嘘くさいにも程がある。こっちの気が治まらねえんだよ」
「……」
「確かに、俺もそう思う。最近のお前、腹が立つ」
リードまでもが便乗し、恐らく本音であろうことを何の遠慮もせずに言った。
レイダは困り果てて、押し黙る。
「聞くって言ってんだから、言えよ」
そこへ、リードが追い討ちをかけた。
「…いや、でも、」
「でも、じゃねえよ。言えって」
レイダはパニックになった。
自分の言おうとしている事が事だけに、この険悪な雰囲気の中で言える訳がない。
誰も冷静に話せないはずだ。
こんなときに、自分のため息癖が裏目に出るなんて。
レイダは自分を呪いたくなった。
「レイダ?」