Forever

□第四章
3ページ/13ページ

 そう言って、笑顔を作った。

「ああ、けど、ちょっと部長にクアルの事言ってくるよ」

 リードはそう言って、部室を出て行った。

「あ、行ってらっしゃい」

 レイダはそう言って、なんかこの言い方おかしいよな、とすぐ突っ込む。

「ま、いいや、練習しよー…」

 誰に言うでもなく言って、レイダはギターを構えた。

 どうしても引けないバレーコード。
 今日こそはマスターしなくては。
 そう意気込んで、教本を開いて、

「……」

 止めた。
 隣から笑い声が聞こえたのだ。

「…えと、なに?」

 戸惑いがちに振り向いて、笑い主、ドーラを見た。

「ん?ああ、いや、お前、独り言多いな」

 ドーラの返事に、レイダは驚いた。
 ――初めて、まともにドーラと口を利いた。

 気づけばドーラはいつもいて、けれどクアルとケンカしたり、リードと話したりで、ついついドーラの存在を忘れていた。

「…おかしい?」

「え、いいんじゃん。――けど俺の存在は忘れないでほしいけど」

「う、ごめん」

「ま、いいけどさ」

 話が途絶えた。
 レイダは手持ち無沙汰に視線を泳がせて、ギターを弾いてみた。
 じゃーん。

「音ちげえじゃん」

 すぐさま、ドーラの突っ込み。
 むう、とレイダは唸って、

「ドーラ、弾ける?バレーコード」

 聞いてみた。
 弾けないよね、ドラムだもん。

「弾けるよ」

 うぇ?

「俺ギター習ってたもん」

「…そ、そーなんだー…いいな」

 レイダが驚きを隠せない顔で、でも素直に羨望のまなざしを向けると、
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ