Forever

□第三章
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 いかにも強そうな、紅蓮の髪の少女が冷たく言い放つ。

「は?お前先輩に向かって生意気だな」

「…どうでもいいですけど、その子いい加減、離してくれません?」

「やだね。なんでお前の言うことなんか、聞かなきゃならねえんだよ」

 少女はため息をついた。

「なんだよ。何とか言えよ」

 恐らく先輩であろう男が凄むと、

「あなたみたいな馬鹿な先輩がいるなんて、この学校のレベルはどうなってるのかしら」

「な、なんだと?」

「だってそうじゃないですか。この子、全然お金あるように見えないんだもん」

 紅蓮の髪を持つ少女は、なおも冷たく言う。

「何を…!」

「制服見ればわかります。あれ、三年前の、どう見ても古着ですよ?」

「……」

「三年前といえば、先輩は既に学校いたんじゃないですか?」

「……」

 男子生徒は反論できず、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 そこへ、少女がもう一人やってきて、

「いたいた!アスア、つれてきたよ!」

 後ろに先生を伴って現れた。
 男子生徒の顔に冷や汗が浮かぶ。

「あ、先生。聞いてくださいよ、先輩が――」

「ぴゃーーーっ!」

 アスアが言い切る前に、男子生徒は妙な叫びを上げて逃げていった。

「…なんだったんだ?サンディス」

「えっと…」

 その異様な光景に、アスアはしばし絶句し、

「あ、あの先輩がカツアゲしようとしてたんです。――彼女から」

「ん?ああ…フィラウィリス、またお前か」

 先生に言われると、襲われていた少女はうなだれた。

「すみません…」

「…まあいいけど。じゃあ、気をつけろよ」

「…お騒がせしました」

 先生が立ち去ると、アスアが真っ先に口を開いた。

「ねえ!えっと…ふぃ、フィラリス、さん…?」

「あ、フィラウィリスです。ミウリル・フィラウィリス」

「そ、じゃあミウリル!あなた本当はお金持ちなの?」
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