Forever
□第三章
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「そうら、こちょこちょこちょー!」
音楽室に、一際大きく笑い声が響いた。
「……」
それを見たレイダが、嫌そうに顔をしかめた。
そして視線を逸らす。
* *
「ようし、じゃあ誰を誘おうか」
エドカイ先生の許可を得て、音楽室を出たアスアが言った。
「うーん…あ、ティルは?」
エナがクラスメートの名前を出す。
「ティルって…メイミー・ティルのこと?」
「そう」
「だめ。あの子テニス部は入るって言ってたし、レイダ嫌ってるから」
「なに、レイダが基準になるの?」
「ならないけど、幼馴染としてレイダの悪口は聞きたくない」
「ま、それはそうか」
エナは納得。
腕を組んで、考え込んだ。
「リフィアもテニス部入る、って言ってたしねえ」
アスアはエナを見た。
「リフィアって、ルシーナ・リフィアだよね」
「うん」
「なんでエナって、皆のこと名字で呼ぶの?私はアスアって呼ぶのに」
「え?う、うん。なんでだろ…」
エナは焦ってそっぽを向いた。
必死に言い訳を考える。
エナが何かを隠している。
本能でそう悟ったアスアは、
「変なのー」
冗談交じりにそう言った。
エナが振り向く。
「そういうの、個性っていうんだよね」
アスアは楽しそうに言って、
「…そ、そうだよ!これは個性だって」
エナも調子を合わせた。
「でしょでしょ。面白いねー。私の個性ってなんだろうなあ」
アスアが遠い目をしながら言って、
「……」
エナは何も言わなかった。