Forever

□第三章
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「全く…困ったお子さんねえ」

 エナはそう言って、アスアの頭を撫でた。

 アスアは抱きついたまま、そういえば、と切り出す。

「ん?」

「レイダ、どうしたんだろ?」

「どういうこと?」

「バンド、組めたのかな」

「……」

 エナはしばらく黙った。
 少し考えて、口を開く。

「アスアってさあ、なんでオルデンに構うの?」

「へ?」

「幼馴染とはいえ、執拗なまでに声かけてるじゃん」

「……」

「オルデンはあんたに、あんなに冷たくしてるのに」

 アスアはまだ抱きついたまま、黙り込む。
 その視線は遠くを漂っていて、どこか懐かしげだった。

「…あいつさ、」

 アスアの口から、言葉が零れる。

「一人じゃ、何にも出来ないんだ。だけど、頑張ってて」

「…へえ」

「私は、割と一人で何でもやってきたから、あいつの気持ちなんてこれっぽっちもわかんない」

 アスアは、その口元に微笑を湛えた。

「だけどね、応援したくなっちゃうの。背中押してやるから、自分で走り出せよって」

「……」

「でもさ、自分で走り出したレイダがどうなるか、見てみたいと思わない?」

「…わかるような、気はする」

「でしょ?だからさ。私は、そりゃあもう親の気分で、あいつを見守ってるんだよ」

 エナは少し驚いた。

「アスア、あんた、」

 アスアが顔を上げる。
 エナは笑った。

「おばちゃんになったねえ」

「あ、ひどい!エナのいじわる」

 アスアがそう言ってくすぐったので、

「あ、ちょっと!やめ――あはっ!あははははっ」

 エナは笑うしかなかった。
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