Forever

□第二章
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 こうして、レイダの“でっかいこと”に向けての第一歩が、大きく踏み出された。
 はずだった。


「ねえ、一週間後に文化祭の出場バンド決めるんだって!先輩たちの演奏見に行かない?」

 合計十組のバンドがあるこの部活は、従って部室も複数ある。

 その内一つ、週に三日使える多目的室。
 そこが、レイダたちの部室だった。

 そこで活動を開始してちょうど2週間。
 部室に入るなり、レイダはそう言った。

 しかし、メンバーの反応はつれない。

「え、面倒くさい。見てどうするんだよ」

 まず口を開いたのはクアル。
 彼は椅子にだらけきった格好で腰掛けていた。
 その手には部の所有するエレキギターが握られている。

「どうするって…勉強になるじゃん。アレンジの仕方とか、オリジナル曲の作り方とか」

「勉強する必要があるのかよ。何となくやってればいいじゃん」

「けど…」

「オリジナルなんか作らなくたってやっていけるし」

「そうだけど…せっかくだったら色々やってみたいと思わない?」

「思わない」

 レイダはかなり不満そうに口を尖らせた。

「えー、だけど――」

「何だよ」

 反論しかけたレイダを制してクアルが言った。
 その声音は先程までとは打って変わって荒い。

 まるでレイダに喧嘩を売っているようだった。

「…いや、何でもない。僕1人で行ってくるよ」

 そしてレイダは肩を落として、ギターを取りに音楽室へ向かった。


 クアルに喧嘩を売られたのは、これが初めてではなかった。

 バンドを組んで2日目。
 ギターを適当に弾いていたクアルをレイダが注意すると、

「だって俺ベース志望じゃねえし。お前がやりたがったから譲ってやったんだよ」

 と、やはり荒い口調で言われたのである。

 ならば自分はベースをやるから、ギターは譲るとレイダが食い下がると、

「やったー、俺ギターじゃん」

 と言って開放6弦を小さく鳴らした。
 真面目に練習する気配はまるでない。

 その後三十分近く、レイダは何度かクアルを注意した。
 その度にクアルは荒い口調で、黙れとレイダを怒鳴った。

 これに関しては、リードが一喝して解決してくれたのだった。

 しかし、これを境にレイダはクアルに怯えるようになった。
 そのため、バンド内も何だかギクシャクした雰囲気になってしまった。
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