Forever
□第一章
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その視線の先には、リードの姿がある。
「あっ、ちょっと!」
アスアが呼びかけても、レイダは無視。
「なによあいつ。昔はあそこまで嫌な奴じゃなかったのに」
変なのー、アスアが独り言ちていると、
「やほ。アスア、振られちゃったねえ」
短い金髪の少女が、後ろからそう声をかけてきた。
「あ、エナ。振られる以前に告白してないから。ちょうどいいや、ご飯一緒に食べよー」
「なんか…都合よく私を利用してない?」
「してないしてない。さ、食べよっ」
「……、まあいいけどさ」
この時アスアは、既にレイダの事など考えていなかった。
* *
いよいよ、レイダが待ち望んだ活動日がやって来た。
その日のレイダは、授業にも集中できず、常にそわそわしていた。
珍しく先生に沢山注意された。
周囲の人間には、
「あのレイダが注意されるとは…」
と、ひたすら驚かれていた。
時は過ぎて、放課後。
「レイダ!行こうぜ」
リードが教室に来てレイダを呼んだ。
「うんっ」
レイダは顔を綻ばせて頷き、鞄に荷物を適当に詰め込む。
それを掴んで、リードの元へ駆け寄った。
そして、二人は音楽室に向かって歩き出した。
「楽しみだね。今日は何するんだろ」
「グループ決めとかじゃないかな。あとパート分けとか?」
「そっか。だよね。それが決まらないと何も出来ないもんね」
レイダとリードは楽しそうに話しながら、音楽室に向かう。
途中、二人の前に一人の少年が立ちふさがった。
二人は怪訝そうな顔をして立ち止まる。
「リード、ちょっと来いよ」
少年に言われ、リードは一瞬嫌そうに顔をしかめたが、