Forever

□第一章
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「なっ。ひっどーい」

 即答したレイダの頭を、少女はぺこっと叩いた。

 彼女の名はアスア・サンディス。
 レイダの隣に住む、幼なじみ。
 紅色のボブカットの髪に同色の瞳をした彼女は、男勝りで派手好きだった。
 故に、レイダは彼女を苦手としていた。

「全く…中学では生徒会やった仲でしょうが」

「どういう仲だっ!周りが仕組んだせいで当選しただけだろっ」

「あーっそ。そういう事にしとけばー?」

 あからさまに挑発的な態度のアスアにレイダはげんなり。
 ひたすら無視して、勉強する事にした。


 レイダとアスアといえば、同じ大神アスアレイダーからとった名前だった。
 それは偶然か、仕組まれたのかレイダは知らない。

 わかることといえば、そのせいでやたら大神コンビと騒がれることだけだった。
 レイダはそれを嫌がった。
 しかしアスアは面白がって自分の宣伝に利用する。
 果てはレイダにつきまとって大神恋仲説を流したりしていた。

 極めつけの中学生徒会事件で、レイダはアスアを完全否定するようになったのだ。


「ねーレイダー、レイダー。返事しろよう」

 アスアがごねるが、レイダは無視。

「ねーってば。おーい」

 ひたすら無視。

「ねえねえ」

 ひたすら無視。

「……」

 ひたすら無視。

「…ねえ、今日締め切りだよ、いいの?」

 ひた――
 レイダは苦虫を噛み潰したような顔で固まった。

「な…だから、なに?」

 しどろもどろでレイダが言うと、アスアは何の遠慮もせずに、

「部活動入部届。部活入りたいんでしょ?あんた」

「……」

「…生徒会の時と違うんだから、私は何も言わないよ?」

「…わかってるよ」

「ふーん。じゃあ、まあ頑張れ」
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