Forever

□第一章
1ページ/9ページ

  でっかい何かをしようと
  考えることは無意味ではない
  これという 意味もないけど

  でっかい何かをしようと
  考えすぎると辛くなるだけ
  自分はそれができるほどには
  でっかくないと思い知るから

 道を歩く少年が一人、そんなことを呟いていた。

 周りを歩く人間はいない。
 よって、見るからに不審なこの少年が、注目を集めることはない。

 少年は十代後半ほどで、こげ茶の短い髪に、濁った青の瞳をしていた。

「うん。我ながらひどい詩を作ってしまった」

 少年は呟きながら、目の前の校門に入っていった。
 “大学”という文字が、校門に刻まれていた。


 つい一ヶ月ほど前に入学した彼は、なりたての大学生だった。
 彼の生まれ故郷、エリエレアーナで学力トップを誇る大学。
 そこに、彼は成績トップで入学した。

 当然、先生達の期待は大きい。注目もされる。
 そのプレッシャーからか、彼は毎朝早くに登校して、図書室で勉強していた。

「あら、おはよう。オルデン君。今日も早いじゃない」

 図書室の司書に言われ、彼もおはようございます、と返す。

 オルデンとは、彼の姓。
 フルネームは、レイダ・オルデン。
 生粋のエリエレア教信者である彼の母は、故にレイダの名前を神話から取った。

 大神アスアレイダー。
 女神エルアメラの父にして、全知全能の神。
 名前負けを恐れたのか、母親はその後半だけを、息子に名付けたのだ。


 レイダは図書室の一番奥に腰をかけた。
 勉強道具を広げ、始めかけ、

「おっはよ。元気してるぅ?」

 そんな、元気な少女の声に遮られた。
 レイダはふう、とため息をつく。

「なにさ、そんなに私に会うの嫌なわけぇ?」

「うん」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ