Forever

□(2)
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「お。今日はスタインもか。あいつら進級する気あるのか?」

 リードやクアルのクラスの担任は、ため息をついてリード・スタインの席を見た。空席だった。



 隣の教室で、

「あれ? 珍しい。風邪かな?」

 そのクラスの担任が不思議そうに呟いて、唯一の空席を見た。
 レイダ・オルデンの席だった。

「誰かオルデンから欠席の連絡もらってる人はいない? サンディスは?」

「……いいえ。何も」

 担任の問いに、この上なく訝しげな顔でアスア・サンディスが答える。

「まあ、彼なら一日くらい無断欠席したくらい、咎める必要もないか。しっかりした子だし」

 担任は勝手に結論して頷くと、さっさと次の連絡に移っていった。
 レイダの人生初の無断欠席は、こうして誰にも気にとめられないのだった。

「……」

 もちろん、アスアを除いては。



「タナ先輩」

 聞き慣れない呼ばわり方に顔をしかめ、ビクターは後ろを振り返った。

「なんだ。アスアか」

 時は過ぎて、今は放課後。
 ビクターは音楽室に向かう途中の廊下で、アスアに呼び止められた。

「タナ先輩に、教えてほしいことがあります」

「……お前さあ、分かってて言ってんだよな。冗談じゃないよな」

「タナ先輩は、私の質問に答える義務があります」

「政治家じゃないんだけど」

「それでもタナ先輩は――」

「だーっ! 分かった! 別に答えないつもりはないって。だから頼むからやめてくれ」

 いつにない冷たい表情でビクターを見ながら、アスアは大仰にため息をついた。

「ビクター。私、あなたのこと見損なった」

「……」

「どうせ、中学のときのこと話したんでしょ」

「……。レイダの奴、学校さぼった?」

 図星のアスアが少し驚いて、それから小さく頷いた。
 ビクターはふっと微笑んで、
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