Forever
□第六章
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相手は相変わらずの態度だったが、その先輩はどれほど怒鳴られても動じなかった。
そして突然、その先輩は男子生徒たちに殴りかかった。
三人を同時に相手取ると、大人も止めに入るのを躊躇うほど派手に殴り合い、最後は引き分けに持ち込んだ。
そこでようやく先生たちも仲裁に入る。彼らは他人を巻き込んで暴れ回ったとして、四人全員に罰則を与え、事態は収束したのだった。
「なに、それ」
「アスア……すごい顔してる」
「だって、一人で解決してくれたその男子まで罰喰らうって!」
「私も、おかしいと思うけれど」
「私も思うよ、ミウリル。たぶん学校側は“生徒四人が勝手に起こした問題行動”ってことにしたかったんだろうけど」
「呆れた。その男子――私にとっては先輩か、本当に可哀想」
「うん」
「……。あの、エナさん。聞いてもいいですか?」
「なに?」
「罰則が、何だったのか」
「そんなことがあったんだ」
レイダがぽつりと呟いて、ビクターは頷いて肯定した。
レイダはそんな彼を見て、
「あのさ、罰則って?」
聞きにくそうに、ビクターを見ながら言った。
はあ。
ビクターは諦めたようにため息をつくと、前を向いた。
「全員、留年だよ」
さらりと言われた言葉に、レイダは驚いて目を剥く。
「留年……」
「つまりあれだ、その四人は今、レイダたちと同じ学年にいるってこと」
「……」
「不良三人はその後、後輩だった奴らと同級生になったのが余程の屈辱だったらしくて、特に問題も起こさず卒業した」
「あ、そうなんだ。ひとまず良かった」
「――さて。問題はここからだ」
ビクターはレイダの方を向いて、
「嘘は言わないからな」