短編
□不思議のアリスの国。
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アリスはただ、空を見上げていました。
「むー…」
後ろの木に寄りかかって、青空を見上げます。
「白うさぎさん、来ないなあ…」
ぽつり、呟きました。
彼女は10歳。
生まれ持った金色の髪と青い目は、彼女の自慢であり勘違いの元でした。
水色が好きな母親は、ある時彼女にワンピースを作ってあげました。
もちろん、水色のワンピースです。
女の子なら誰でも一度は憧れる、白いフリルのエプロン付きです。
着てみて、彼女は直感しました。
わたしは、きっとアリスなんだわ。
そんな、間違った直感でした。
そして彼女はそれから、ずっとそのワンピースを着て、木の下で白うさぎを待っているのでした。