Forever
□(2)
1ページ/3ページ
「そんなことがあったの。全く知らなかった」
全てを聞いて、ミウリルが深く頷いた。
エナはそんな彼女を見てはにかむ。
「以上が、中学であった出来事の全て。私はあれ以来ホーナもスタインもドーラも嫌いだし、ビクターは誰が何と言おうと嫌いにはならない。実際、今も彼はカズトと一緒にいて、守ってくれてるしね」
「そういえば。あの人、留学生さんと一緒のバンドだったものね」
「うん。カズトもビクターのこと信用してるみたいだし、結果オーライだと思うよ。本当に良かった」
「そうよね。――それにしても、クアル・ホーナって人はどうして留学生を襲ったのかしら」
「さあね。知らないし知りたくもないけど。大方ちやほやされてるのが気にくわなかったとかじゃないかな」
「なるほど」
「……ところでアスア、どうしたの?」
エナとミウリルはようやく、アスアが血の気の引いた顔をしていることに気づいた。
アスアはゆっくりと顔を上げる。
「ちょっと待ってよ。あなたにはそれで『めでたしめでたし』かもしれないけど、私はそれで終われない」
「ん? どういうこと?」
エナとミウリルが首を傾げて、
「レイダはっ? その大馬鹿連中とバンドを組んでる! 仲良くしてる!」
「あ」「あ」
「このままじゃ、レイダが危ない! 何されるか分かんないじゃない!」
アスアは興奮した様子で勢いよく立ち上がると、
「何とかしなきゃ! 私が!」
そう言うなり、駆け足で理科室を出て行った。
残されたエナとミウリルはしばらく無言で互いを見つめ、
「何する気だろ、あの子。今日はもう、部活の時間終わりなのに」
「オルデン君なら、もう帰ってそうよね」
二人して、肩をすくめた。
* *
ビクターが全てを打ち明けた、その翌日。
「はあ……、今日もか」
教室にいつも通りクアルの姿はなく、