Forever

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「そんなことがあったの。全く知らなかった」

 全てを聞いて、ミウリルが深く頷いた。
 エナはそんな彼女を見てはにかむ。

「以上が、中学であった出来事の全て。私はあれ以来ホーナもスタインもドーラも嫌いだし、ビクターは誰が何と言おうと嫌いにはならない。実際、今も彼はカズトと一緒にいて、守ってくれてるしね」

「そういえば。あの人、留学生さんと一緒のバンドだったものね」

「うん。カズトもビクターのこと信用してるみたいだし、結果オーライだと思うよ。本当に良かった」

「そうよね。――それにしても、クアル・ホーナって人はどうして留学生を襲ったのかしら」

「さあね。知らないし知りたくもないけど。大方ちやほやされてるのが気にくわなかったとかじゃないかな」

「なるほど」

「……ところでアスア、どうしたの?」

 エナとミウリルはようやく、アスアが血の気の引いた顔をしていることに気づいた。
 アスアはゆっくりと顔を上げる。

「ちょっと待ってよ。あなたにはそれで『めでたしめでたし』かもしれないけど、私はそれで終われない」

「ん? どういうこと?」

 エナとミウリルが首を傾げて、

「レイダはっ? その大馬鹿連中とバンドを組んでる! 仲良くしてる!」

「あ」「あ」

「このままじゃ、レイダが危ない! 何されるか分かんないじゃない!」

 アスアは興奮した様子で勢いよく立ち上がると、

「何とかしなきゃ! 私が!」

 そう言うなり、駆け足で理科室を出て行った。
 残されたエナとミウリルはしばらく無言で互いを見つめ、

「何する気だろ、あの子。今日はもう、部活の時間終わりなのに」

「オルデン君なら、もう帰ってそうよね」

 二人して、肩をすくめた。


   *   *


 ビクターが全てを打ち明けた、その翌日。

「はあ……、今日もか」

 教室にいつも通りクアルの姿はなく、
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