かけらことばのおんなのこ
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「突っ込み長いゾ」
のらりくらりと俺の追撃をかわすマークにもはや突っ込む気さえ起こらなくなった俺は、わざとらしく咳払いをして、マークを一睨みした。
「……」
マークのくせに、黙った。
どうせまた茶化されるだろうと思っていたので、逆に落ち着かなくなる。
なんで最近、何一つ予想通りに行かないんだろう。
「……」
「なんだよ、何か話せよ。気持ち悪いな」
縋るような気持ちで、しかしそれを表面には出さないようにしながら言ってみる。
「それにしてもアレだな、お前も意外と純情なんだナ」
すると突然、マークがそんなことを言った。
「えっと? ついていけないんだけど」
「だってヨ、有田ってヤツが他の男とプリクラ撮ったくらいで気に食わないんダロ。独占欲バリバリじゃねえカ」
「独占……は、はあ? 俺はただはっきりしないのが気に入らないだけで!」
「じゃあ有田がはっきり、お前が嫌いでやまとが好きだって言ったら納得か? それでお別れですっきりか?」
「……」
返す言葉が見つからなかった。
――嫌い? 有田が? 俺を? 告白してきたのは向こうなのに?
「分からないって顔をしてるみたいだが、人の気持ちなんてころっと移り変わるもんだ。向こうが告白してきたからって、永遠に自分を好きなままだなんて自惚れてんじゃないだろうな」
再びマークの厳しい批評。
図星、かもしれない。
確かに。
いつの間にか俺は、有田が自分を嫌いな訳がない、という前提でもって考えていた気がする。
悔しいけどマークが正しい、気がする。
と閃いておきながら、
「ち、違うし。俺は別に、振られたっていいし」
口をついて出るのはそんな言葉。
駄目人間っぷりが我ながら情けない。
マークは俺の発言に眉をひそめた。
しかし口は開かない。
そんな顔しないでよ、俺だって今の発言には自分でショック受けてるんだから。
「……ハア」