かけらことばのおんなのこ
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「……だっていいじゃん。このバンドの曲」
「マアナ。解散は残念だったよナ」
「まだ現役だったらそれはそれで怖いけどな」
「七十代はいってるだろうからナ」
「そうだな。よく考えたら解散したのってお前が生まれるよりずっと前じゃないか」
「そうだナ」
「あんたも相当な古いもの好きだな。それにしてもこのバンド、なんで解散したんだっけ」
「あー、アレダ。メンバーが一人死んじまったからダロ」
「そうだ、それだ」
「気の毒だナ。一番年下だったんダロ」
「ああ。ところで、ポテトは?」
「オウ。あるぜ、食えヨ」
「……冷めてるし」
「そういえば、ケータ」
俺が文句を言いながらポテトをつまんでいると、ふいにマークが改まった様子で口を開いた。
「なんだ? 改まって」
「いや……お前さん、話を聞くところだとよ、」
「お、おう」
日本語が――、とかはとりあえず言わないでおく。
するとマークは心の底から楽しそうにニカッと笑って、
「つくづく女運ないんダナ」
「……」
「想に嫌われ、ノッカには怒鳴られ、恋人には浮気され――散々じゃネーカ」
「うるさい」
「それにしても有田ってお前の彼女だったんだナ」
「……まあ」
「全く、なんでお前みたいな真面目なヤツに彼女がいて、オレのようにフレンドリーなお兄さんにはいないんだ。この世は不思議ダゼ」
「それに関してだけは全世界が納得すると思うけどな」
「とにかくアレだ、一回有田ってのをウチに連れてこい、オレ様が直々に話を聞いてやろう」
「絶対嫌だ」