かけらことばのおんなのこ
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「な、何であんたに分か――」
「この店に通っていることをしばらく言わなかったんでしょう。彼女の誘いより、マークの店を優先したでしょう」
「……」
「極めつけに蘭奈さんより勉強が大事だと、本人の前で言ったとか。それだけ人を傷つけておいて、生意気も良い所だとは思いませんか」
「……だから有田と二人で出かけたのか?」
「ええ。随分とお悩みのようでしたから、僕で良ければお力にならせて下さいと」
「じゃあお前から誘ったのか」
「いえ。蘭奈さんの方からこちらにいらして下さいましたが」
「は?」
「なんでもティアラさんの紹介で僕のことを知ったとかで。相談に乗ってほしいと頼まれたのでお受けしたまでです。ご理解いただけました?」
「……」
結局ティアラって奴に繋がるのか。
泰都の睨んだ通りじゃないか。
「そのティアラって奴が、今回の首謀者か?」
やまとが少し驚いた顔をした。
そして口を開く。
「驚きました」
「図星だったか?」
「いいえ。躍起になって首謀者を探しているのだと知ったから驚いたんです」
「何が言いたいんだよ」
「心底下らないと思いましてね」
「は?」
俺はやまとを睨みつけた。
向こうは相変わらず、余裕そうな笑みを浮かべている。
「ティアラさんが計画したとか、僕が蘭奈さんと出かけたとか、そんな事どうだっていいじゃないですか。肝心なのはあなたがどうするか、でしょう?」
「そんなの分かってる。だからこうして、」
「いいえ、あなたは何も分かってない。だからこうして僕なんかの所で時間を無駄にしているのでしょう」
「……」
やまとがほんの少し真剣な顔になった。
「じゃあ、どうしろって言うんだよ」
「それこそ明白です。蘭奈さんと直接話せばいいんです。知りたいことは、彼女が全て教えてくれます」