黒バス

□なんで・・君が・・
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決勝リーグ。

誠凛は桐皇学園の青峰に圧倒的な差を見せ付けられた。

そして、青峰は黒子の文句を聞き、
イラついて出て行ってしまった。

それを追いかけた舞なのだが。

「・・舞、今は一人にしてくれ」

「・・・ッ。
・・・わかった、よ・・」

青峰の気迫に負け、来た道を戻っていたのだが・・。

「あっ、舞さんじゃないですかぁ」

「っ?!」

ぞくり、
その声を聞いた途端、背筋に寒気が走り、
勢いよく振り返る。

舞の背後に立っていたのは、
桃色の髪をなびかせた、少女。

「も、もい・・さつき・・」

「どうしたんですかあ?
そんな、怯えた顔をして♪」

彼女はかつての中学時代、
舞の心に拭いきれないトラウマを植えつけた人物だ。

彼女が近づくたび、逆に舞は離れようと距離を伸ばす。

「『これから一緒に活動する』んですから
そんなに私のこと嫌わないでっ」

「い、っしょ・・て・・え・・?」

「私、桐皇学園に入学することになったんです」

そして、片手にバスケ部の入部用紙を持って笑う。

「大ちゃんは、私のものなんです」

「・・ふざけっ・・んな」

「じゃ、私は行きますねw」

そういって夜道に消える彼女をただ見送るしか出来なかった。
























―――





















そして、次の日の学校は、
何かが違っていた。

すれ違う人には嫌悪の瞳で見られ、
教師には変な言いがかりをつけられる。

そして、最後には。

「あー、白石?
君、もう来なくてええわ」

「・・・はい?」

「いやあ、桃井っちゅーええ子が入ってきたんよ。
だから君はもう、用なしっちゅうことや。
戦力に関しては青峰が居るから問題ないんや」

その後ろからは桃井が歪んだ笑みでこちらを見ていた。

それに耐え切れず、舞は走り出した。

そして、ある人物にぶつかった。

それは。

「・・・あ?」

「だっ、大輝くん・・・!」

この人なら、と希望を込めた笑みで見上げたのだが、
そんな希望も打ち砕かれる。

「・・・触んじゃねーよ。
俺ぁ、さつき待たせてるんだから」

「・・・・え?」

「大ちゃん!」

「おっ、さつき!」

かつては自分に向けていた笑みを
桃井に向けている事実。

舞の中で、
何かが、切れた。

























―――




















ここは秋田。

陽泉高校の下駄箱前で、バスケ部員がたまっていた。

「雨、降ってるよ、敦」

「だねぇー、室ちん」

「これじゃあお菓子、買いにいけないね」

一人は氷室辰也。

火神のアメリカでの兄貴分だ。

もう一人はキセキの世代、紫原敦。

二人はこの学校の寮生で、たまたま紫原の菓子を買いに行こうとしたのだが、
雨だということを忘れて傘を持ち合わせていなかったのだ。

「・・あ、そういえば今日は日本全国で
一日中雨だったんだよね」

「珍しいねえ、室ちんがこういうの忘れるなんてさ」

「何かのお告げ、かな?
・・・・ん?あれは・・・」

土砂降りの雨の中、こちらに走ってくる人影。

それを確認した途端、紫原の顔色が変わった。

大切な菓子の入った袋を落とし、
雨の中、その人影に向かって走り出す。

「敦・・・!?」

「舞ちんっ!!」

人影、舞は紫原に抱えられた瞬間、
意識を失い、倒れこむ。

紫原は急いで校舎の中に運ぶ。

「ねえっ、舞っ!!
返事をしてよ!ねえ!」

「落ち着いて敦!」

「落ち着けるわけないじゃんっ!!!
舞がっ、何で一人でこんなところまで・・・・!!」

体は冷たく、苦しそうに息をしている彼女を見て、
氷室はシャワー室に運ぼうと、
混乱している紫原を説得し、
寮備え付けのシャワー室へと向かった。

シャワーはとりあえず紫原がやった。

そして、清潔な衣類に着替えさせ、
紫原と氷室の部屋のベッドに寝かしつける。

「・・・ねえ敦。この子があの舞ちゃんなら・・。
この子、東京から走ってきたってこと・・、考えられない?」

普通なら考えられないこと。

しかし、彼女は普通ではないのだ。

「確か、君の話だと・・。
2km、二分で走るんだろう?」

「うん、一時間はそのペースで走れてた。
終わったあとも「まだいける」って言ってたし」

未だに苦しそうに息をする舞。

紫原は携帯を手に取ると、ある人物に電話する。

『もしもし』

「もしもし、赤ちん?」

『敦、どうした?』

「舞ちんが一人で走って秋田まできた」

『・・・・は?』

「急いでこっちこれる?
詳しい説明はこっちでするから」

『わかった、すぐに行く。
近くに居るから一時間弱でつく』

そう連絡をすると、
ぱたん、と携帯を閉じた。

「・・・大、輝・・・」

「!」

「舞ちん・・・?」

「・・・大輝、なんで・・。
・・なんで、桃井さん・・と・・・?」

『桃井』

その単語を彼は、いやというほど知っていた。

「・・・峰ちんが、桃井さつきと・・・?」

「敦、その桃井って人の説明。
後でしてくれるかい?」

「・・・・・。
わかった、でも・・後でね」

桃井、そのワードがでた瞬間、
紫原が纏うオーラは不機嫌のそれに変わった。

桃井が何なのかは、氷室もいずれ知る。

そして、どうしてこうなったのか、ということも。









(いきなりの急展開に私もついていけない。
どうしてこうなったの。あとでネタバレ設定追加しておかなきゃ・・・!)

end
 

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