黒バス

□はァ?!
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誠凛が海堂に練習試合を申し込み、
そして、黄瀬本人が誠凛へと顔を出したこの日・・・。

もう一人の『キセキの世代』が、
誠凛に顔を出した。

「あーあー・・・、
やっぱり負けちゃってるねえ、誠凛の虎さん」

「!?」

「この声は・・・・!!」

火神が黄瀬に負けた瞬間、
そんな声が響いた。

その声を聞いた瞬間、黄瀬はハッとした表情を浮かべたあと、
溢れんばかりの笑顔を浮かべ、
自分の後ろの扉に寄りかかっている『声を発した人物』に飛びついた。

「あっ、秋っちぃいいいいい!!」

「久しぶりだね、涼太くん。
・・・それに、テツヤくんも」

秋と呼ばれた彼は、
中学時代と何も変わらぬ笑みを浮かべ、
驚く誠凛メンバーにも同じように笑みを浮かべた。

「お、おい、黒子・・。
アイツは・・?」

「・・あの人は白石秋。
『キセキの世代』でも1.2を争う実力者です」

黒子の言葉に、
驚きの声を上げるメンバー。

「っ、でも!
この雑誌に載ってねえぞ?!」

「ああ、それ?
それなら俺は丁重に断ったよ」

日向の手にしている雑誌を見て苦笑し、
秋は未だに犬のように纏わりつく黄瀬の相手をしながら言う。

「俺はちょっと特殊だからさ。
試合にも一回しか出てないし。
征くんにも『そういうのはやめておけ』って言われたから」

聞き覚えのない人名にハテナを浮かべるものの、
その一回の試合が気になる。

「・・あの、一回しか出てない試合って・・」

躊躇いがちに聞いたのは誠凛監督相田リコだ。

そんな質問に笑顔で答える。

「えっと、三年卒業試合の全中決勝戦かな・・」

「決勝戦・・決勝戦って絶対の勝ちを宣言する帝光の最初で最後のチームプレーと言われてるあの試合か?!」

「あ、ああ、うん。それだよ。
俺がチームプレーが必要なスタイルで・・・。
皆に迷惑をk「んなことないっス!めちゃくちゃ楽しかったんスよ!?あの試合!」

「僕も出たかったです」

そんな中学時代の話に花を咲かせるメンバーの中に入れないのは
勿論あの男で・・。

「おい、白石とか言ったか?」

「・・?
あ、虎くん」

「俺は虎じゃねえ!
俺の名前は火神大我だ!」

「Tigerでしょう?
だから虎くん。まあ大我くんでいいや。
で、何?」

黄瀬をいったん離しつつ、
変わらずに笑顔を顔面に貼り付け続ける。

「俺と戦えよ」

「ついさっき俺にボロ負けした人間が何言ってるんスか・・・」

「やめたほうがいいですよ、火神くん。
瞬殺されます」

「あはは、俺もやめたほうがいいと思うけど」

そんな言葉も無視して投げつけられたボールを見て、
彼は先ほどとは違った『笑み』を浮かべた。

それは、
誰もが見て怖気を感じるほどの、
冷気を含んだ、笑み。

ボールを片手の小指で弄(もてあそ)びつつ、
固まって動けない誠凛バスケ部、そして火神に向けて、へらりと言う。

「再起不能になっても知らないよ?」

ボールを地面に落とした音。
それに気づいたときはもう遅い。

青峰にあったときのあのスピード、
いや、それ以上の速さでゴールへと突っ込み、
そのまま、ダンク。

素人には、瞬間移動にさえ見えただろうそのスピードには
三年間付き合った彼らでさえ「嘘だ」と思うほど。

彼は、桐皇によって与えられた実戦で
凄まじいスピードで成長していったのだ。

「うわあ・・・、久しぶりに見たらまた進化してるっス・・・」

「ほんと、秋くんは伸びしろが見えません」

キセキでさえ驚くほどだ。

初見の彼らは、
どれほどの衝撃を受けたのだろうか。

「・・す、げえ」

誰かから漏れたその言葉。

それは痛いほど火神自身が理解していた。

彼のプレー。

あらゆる感情を通り越してそれが彼に与えたのは『憧れ』

静かな空気が流れる中、
ぱさりと何かが取れる音と、
秋のつぶやき。

「あ、ウィッグとれた」

「・・・・え?」

そして彼らは次なる衝撃を受ける。

ウィッグが取れた下から現れたのは純白の髪。

そして、それが現れたことにより
彼は彼女へと変わる。

「・・・舞っち。
もうこれで呼んでもいいっスよね?」

「あー・・・うん、
もういいや。ごめんなさい。
私、女でした」

響いたのは驚きの絶叫だった。

























―――





















「改めて自己紹介します。
私の名前は白石舞。
帝光中学男バスマネージャー&プレイヤーで、
今は白石秋として桐皇学園でプレイヤーやってます」

ぺこり、と頭を下げれば呆気にとられていた
誠凛バスケ部のメンバーも、どうもと頭を下げた。

「ちなみにこのウィッグ。
ちゃあんと私の髪の毛で作ってあるんですよ?」

「え?!それ初耳っス!」

「あれ、大輝から聞いてないの?」

「最近皆とあってないですから」

「ああー、ナルホド。
私最近征くんと敦で食事会はしたよ?」

「なん・・だと・・・?」

「・・・なんか凄い勝手に盛り上がっちゃってるわね・・」

「黒子のあんな笑顔はじめて見た・・・」
















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