好きしょ【空色の花】

□その他空受小説
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永瀬×空 (13

やめときゃよかった…。
なんでオレ、あんな紫色の…見るからにアヤシイ液体を飲んだりしたんだろう。

「うまかっただろう?その口に合わせて、ブドウ味に仕上げてみたのだが」
「あ〜っ、確かにうまかったけどっ。なんで飲んだ直後に、こんなに身体が痺れたりするんだよ!」
「痺れ薬を調合したからだ」
「それくらい、わかってんだよ!」
これはもう、永瀬お得意の薬物だ。
オレの身体の自由を奪って、何かふざけたことするつもりなんだ。
「おとなしくしておいた方が、身のためだ」
永瀬が、ゆっくりと、へたりこんで動けないオレに歩み寄って来た。



***


七海×空 (14

食卓に並んだ、色とりどりの様々な料理。その中から、肉じゃがをつまんで口にした瞬間、オレはイキオイよく叫んだ。
「うめぇー!七海ちゃん、料理人になれんじゃねーのか!?」
「やだなぁ空くんてば。そんな腕前じゃありませんよ」
謙遜してる。
だってこれ、ホントに店で売ってるのなんかより、遥かに美味い。
「七海ちゃん、一生オレのためだけに料理作って欲しいな」
「え…っ」
七海ちゃんが急に顔を真っ赤にしたのは、ふと呟いたオレの独り言が原因だと、すぐにわかった。
オレは「そういう意味じゃなくて…」と言おうとしたけど…。

「そういう意味」でもいいって思ったから。

黙って、七海ちゃんの顔を見つめる。

「残さずに…食べてくれるなら」

「残すわけないだろ」



***


奏司×空 (15

「じゃあそろそろ、休憩にしようか。紅茶でもいれるよ」
「マジ?やった〜♪」

隣に座っていた奏司さんは、にっこりと微笑んで立ち上がる。
身体ばっかりじゃなくて、ちょっとは頭も鍛えてみるか…ってことで、奏司さんに法律のことを教わるようになって、今日で3日目。
オレは、休憩にいれてくれる紅茶と、一緒に出されるちょっと高級そうなお菓子の虜になってた。

「お待たせ。どうぞ」
しばらくして目の前に置かれたティーカップからは、ほんのり甘い匂いと、ゆらゆら揺れる湯気。
これを飲みほすまでの十分ほどの間も、奏司さんは、楽しい話をたくさんしてくれる。
「そういえば今日は、面白いことがあったんだよ」
なんて言って。
寡黙なイメージなのに、よく喋る奏司さん。だけど、話し方のせいか、大人びてカッコイイ。



***
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