好きしょ【空色の花】

□水空小説
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 *Hazy Crazy Love*



壊れるまで
   もっと



オレを

     愛して。





−Hazy Crazy Love−




水都がオレに与えたのは、
恐怖の次に、
快楽。

まるでいけないクスリでものんでしまったかのように、
オレは堕ちた。



「水都…」
藤守や祭からの遊びの誘いも断り、
毎日のように放課後に足を運ぶその部屋に、愛しい人はいる。
「まだ仕事が残っているんだ。そこで準備して少し待っていろ」
「…はい…」
冷たく背中を向けたままの彼のため、自ら上着を脱ぐのにも慣れた。
待つことには、なかなか慣れないでいるけど。
早く来て欲しい。
オレに触れて、抱きしめて欲しい。
尽きない欲望は、身体の中であつい熱を生み出してゆく。
触れる度に、もっと汚したいと水都が言うこの身体。
だけどきっともう、キレイな部分なんてこれっぽっちも残ってないはずだ。
オレはただ、愛されたいだけ。
「水都、早く…」
上着だけじゃなく、身につけていた全てを脱ぎ捨て、オレは水都の背中に訴えかける。
水都は、ククッ、と小さく笑って、
「そのまま待っているんだ。待てないようなら…わかっているな?」
「……ぁ…」
冷たく突き放されたようで、胸がチクリと痛んだ。
いつものことなのに、やっぱり慣れない。

水都に振り向いてももらえないまま5分を過ぎた頃、すっかり冷えてしまったオレは、小さく一回クシャミしてしまった。
敏感に反応した水都は、いらついたように荒い仕種でペンを置いた。
「黙って待つこともできないのか、羽柴。ん?」
決して笑ってはいないけど、水都の声は、どこか楽しそうに言っているようにオレには聞こえた。
「ちが…っ、……ごめ…」
慌てて謝ろうとしたけど、ゆっくりと歩み寄ってくる水都を見て、口を閉ざした。
お仕置きでも。
これから水都はオレに構ってくれる。
嬉しいんだ。

「…本当なら、あと30分はこのままにしておきたかったんだがな」
「イヤだ、そんな…っ」
「我慢もできないとは。ずいぶんワガママなもんだ」
オレの身体の頭の先から脚のつま先まで舐めるように眺めながら、水都は言った。
触ろうともせずに。
「水都…」
ワガママなのはわかってる。
だって今も、して欲しくてたまらない。
触れて欲しくて、抱いて欲しくて、ただ水都の顔をじっと見つめ返すと、少し不機嫌そうに、水都は言った。
「欲しいのか?だったらすることがあるだろう」
「ぁ…」
言われて、「やっぱり」と思った。
本当は、一度でいいから水都からオレに触れて欲しいのに。
今日ももしかしたら、って思ったけど…ダメなんだな、やっぱり。
「どうした、できないのか?」
「…やる」
水都に促され、オレはゆっくり歩み寄り、その足元にひざまずいた。
そして、緊張で震える手で、服装に全く乱れがない水都のズボンの、ファスナーをおろした。
そこから水都自身を掴み出して、そっと撫でる。
「熱い…」
頬を寄せると、脈打っているのを感じた気がした。
それに軽く口づけて、先端を口に含んだ。
「ん…っ」
今まで、口でするなんて知らなかったオレに、水都は必ずしろと教えた。
これをしないと、してもらえないから、オレは丁寧に奉仕する。
「…ぅ、んん…」
深くくわえ込んで裏側に舌を這わせると、それまで何の反応もなかったそれが、微かに硬度を増した気がした。
嬉しくなって、もっと繰り返して、強く吸う。
「うまくなってきたじゃないか。他にもやっているのか?」
「…っ!…なこと、しない…っ」
「…いいから続けろ」
「……」
意地悪なことを言われたから、思わず口を離してしまった。
水都に叱られて、オレはまた慌てて続きを始める。
何度も繰り返すと、口の中のそれは、喜ぶみたいに先端から液を滲ませる。
舌に絡めながら奉仕を続けていると、水都が腰を動かし始めた。半分ほど抜いて、オレが口で追おうとすると、また入れてくる。
「んっ、ぐ」
ノドの方までいきかけて、一瞬むせてしまいそうになったけど、水都がオレの口に出し入れするのなら、もう自分からはしない。
ただ、時々舌を動かしたり、軽く歯を立てたりしてみるだけ。
水都はそんなオレの頭を掴んで、何度も腰を動かした。
飲み込むことのできない唾液と、水都の精液とが絡み合いながら、口の端から一筋、流れる。
「…いくぞ」
しばらくして、水都の低い声が降ってきた。
「ん、んん…」
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