終わりを告げるチャイムが鳴った。
紙のこすれる乾いた音がシーンとした部屋に響く。
走り出したい、声をあげてしまいたい衝動に駆られる。
トントンと端を整えて号令の合図で立ち上がった。
号令なんてみんな言いやしない。
そんなことよりも、この開放感を伝えたい!
「中間考査しゅうりょぉぉおお!!!」
「みんなぁ!おっつかれー!!」
そうです、今日で3日間のテストとの戦いがおわったのです。
もちろん掛詞的な意味ですがね。
でもこの際どうでもいいんです。
まだ結果が返ってきたわけではないのだし、返ってきたらちゃんと落ち込むから。
だから今は!遊ばせてくださいよ!!
「ツーナ!!」
「わっ、あ!おつかれ」
「おつかれー!!ねっ、今から遊びに行こうよ!」
「いいよ!どこ行くの?」
甘い甘いばぁ〜♪
「2名様ご案内いたしまーす」
ピンクで統一された甘い香りの漂う店内。
何も知らずに見ればラブラブするためのホテルのようだ。
「確かに、おいしいけど・・・」
「いいじゃん♪」
「でも、男なのオレだけじゃん!恥ずかしい」
「だって。ねぇ・・・?」
「スイーツパラダイスって・・・!」
顔を真っ赤にさせながら苺を口に運ぶツナ。
なんだかんだで甘味を堪能してると思うんだけどなぁ。
なんて、拗ねてるツナには言わないけど!
ツナの言うとおり店内は女性客ばかりで言い分も分かる。
テスト明けで甘いものが食べたい気分だったし、どこでもいいってツナ言ったよね?
だから仕方ないのだよ!
「そっちのチョコケーキちょうだい?」
「いいよ!・・・・え?」
目を閉じて口をぱかっと開けているツナ。
もしかしてこれって!これって!!
あ〜んってやつなのか!?
どうしたの今日のツナ、可愛すぎる!
赤面したり拗ねたり今のこの行動とか・・・もう!
“早く!”とさらに赤くなりながら要求してきた。
ちょっと緊張気味にツナの口にチョコケーキを運ぶ。
満足そうに笑うと自分のモンブランを差し出してきた。
「あ、あーん・・・!」
自分でやっときながら声、上擦ってるし。
充電完了!
テストの結果でへこんでも、私にはツナがいるからね!
(甘いケーキはご褒美です。)