零れ落ちる音

□*─[♪]→1話
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『朝起きたー。寝坊したー。急いで着替えて出かけなきゃー』

バシン。

枕元から気の抜けた音楽が聞こえる
発信源は、my ケータイ
自分もよくこんな音で毎日起きれるなぁ、なんて思いながらベットから起き上がる
その時首からジャラリと指輪のついたネックレスが揺れた。
ついさっきまでは覚醒しきってなかった頭がはっきりとした
見知らぬ場所に見覚えの無い家具たち。

「え、は・・・・?」

ちょっと待て、ここ・・・・・どこですか?それにこの指輪は何・・・?

自分でも吃驚するくらいに冷静で、自分でも吃驚するくらいな勢いで脳から伝わる信号を拒絶した。
それでも体は動きを止めず、頭は活動し続ける
机に置かれているのは分厚くて重たい茶封筒と数枚の書類
そっと手を伸ばして中を確認する

「うわ、なんつー量・・・」

苦笑を浮かべつつ中を開けば数え切れないほどの諭吉さん。
ここまでくるともう何がきても驚かねぇし!!
そう意気込んで今度は書類に目を通して、絶句。

<並森中学 入学手続き書>

ここまでぶっとんだ内容が飛び込んでくるなんて、私・・・これっぽっちも思ってなかったんだもん。



嗚呼、きっとこれは夢なんだ。
そう自己解決をしてから何日過ぎたのでしょうか
気づけば明日は入学式で、夢の中で何度も朝を迎えて夜を見送った。

訳の分からない見知らぬ場所で目を覚ました日に、大体部屋は物色した。
タンスの引き出しからはいくつもの『0』が印刷された通帳
クローゼットには並中の冬服、夏服、体操服。
他には私好みの服が数着。
お金も服もあるのだから生活には困らない
それなら・・・

何を迷っているの?何を怖がっているの?
踏み込めばいいよ、見知らぬ世界に・・・!
意志を固めて明日の準備をしてから布団に入った


(私はありえない夢を悔いの無いように楽しむって決めたんだ)

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