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□虚しさと空虚感
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気分で髪型を変えた。
アイツはいつもならからかってくるはずなのに
今日はつっかかって来なかった
・・・・・アイツ?
アイツって誰だ?
虚しさと空虚感
「何持ってるんだい?」
そう言ってマーモンが覗き込んできた俺の手元には
大きなカエルの被り物。
無線内蔵という無駄に高性能なもの
アイツがコレを被れば無愛想な顔に
コミカルなカエルの目が妙にしっくりくる、はず
・・・・だからアイツってなんだ!
師匠たちと買い物に来た
クロームさんはワンピースを
ミーは、パーカーを。
「ネコ耳のパーカーが流行ってるとは
聞いたことがありましたが、
カエルの形をしたものまであるんですねぇ」
緑色のカエルパーカー
これを着たらあの人はケラケラ笑うと思う
・・・・・あの人って?
未来をボンゴレ10代目が変えた
なんとなく頭に流れてきた映像
ミーのことを『愛してる』
そう言ってくれたあの人の顔だけ
靄がかかったように見えなかった
『無視すンなカエル!!』
『クソ生意気なこーはい♪』
何度も何度も夢で見る
顔の分からない人と愛し合っている自分
笑いあっている自分を。
『堕王子ー!』
『ベルセンパーイ』
憎たらしいのに可愛くてしょうがない
馬鹿にしたように呼ぶ声がたまらなくスキだ
そんな光景を何度も何度も夢で見た
今回もきっと夢なんだ
だから覚めないで、夢の中の住人でいい
そっと目を閉じてゆっくりと開ける
長机を向かい合わせにして座っているのは
ヴァリアー幹部と沢田綱吉に、その守護者達
マーモンがぴくりと揺れた
「六道骸はいつ脱獄したのさ?」
「クフフ。よく分かりましたね
仲間というには子供過ぎるけれど、」
そう言って招かれたのは紛れもないアイツだ!
フラッシュバックして駆け巡る記憶
あの夢の靄が一斉に晴れていく
ずっと心の中にあった失ったもの
まるでパズルの最後の1ピースを見つけたような感覚
(初対面のはずなのに自然と穏やかに笑いかけていた)
(足りなかった片割れが蘇った気がした)
王子+カエル=1