Novel

□こっち向いて
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雲雀恭弥の日課。
それは朝一に校門の前での遅刻者を取り締まる
授業中には校内の見回り
自分は出なくていいのか、というツッコミは
心の中に収めておかないと咬み殺される。
不良やサボリを殴りつけた後は、屋上での日向ぼっこ

これが彼の日常だ

いつものように遅刻してきた者に反省文を書かせた後
校内の見回りを始めた
1階、2階、と順番に上へと上っていく
3階も終わりに近づき、廊下の1番奥へとたどり着いた

「何してるの?」

廊下の隅っこで蹲っている男子生徒を発見
見覚えのあるその姿は、沢田綱吉だった
寒くもない今日にぶるぶると肩を震わせて
瞳には大粒の涙がボロボロと零れ落ちていく
いつも笑顔でいる彼が涙を流していることに
雲雀は酷く驚いた

らしくもない、何に動揺してるんだ

「授業はどうしたの?」
「・・・・・」
「ねぇ、僕の話聞きなよ」
「・・・・・」

全て無視をされたことにより雲雀の苛々は募っていく
いつもなら大きな目をもっと開けて驚いて
素っ頓狂な声を上げて僕に反応するのに
いつもなら僕の話を聞いてくれるのに

雲雀は綱吉の隣に座り込んで顔を覗き込んだ
顔は真っ青で、そっと頬に触れればとても冷たかった
風邪じゃないみたいだけど、一体・・・?
綱吉に何があったのか見当もつかない
こんなに近づいても全然反応してくれない。
雲雀は考えた末に綱吉の顎をくいっと持ち上げて
──そっと口付けた。

ピクン。と身体を反応させていつものように
目を見開いた綱吉を見て
雲雀は満足そうに口元を緩めた

「ひば、り・・・さん」
「やっとこっちを見たね」
「え・・・・・今の、」
「ほら、聞いてあげるから話なよ」

珍しく優しく雲雀が笑うと、綱吉はその胸に飛び込んだ。

(陽だまりの温かい匂いがした)

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