Novel
□揺れる世界の中で
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嗚呼。なぜこんなことになってしまったんだろう
体中の全ての感覚神経が甘い魅惑に壊されてしまって、脳もとろけるような感覚で全く機能していない。
森の奥で今はひっそりと暮らしていた。
いつか来るはずのその時まで、ミーは静かに連絡を待つハズだった
師匠を救出するその時まで。
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週に1度だけ町に出て大量に食料なんかを買い込んで家へと帰る
極力外へは出たくなかった。誰とも関わりたくなかった。
ゆっくりとした足取りでいつもその道を歩くのに、今日は景色の全てが流れる速さで
なんでかって?
知らない人たちにつけられてるからですよ
横目で相手を見れば人数は2人。
2人くらいちょろいはず・・・でも彼らはやり手だ
放つ空気が、オーラが、他とは違う
「逃げ足はえーやつ♪あいつ捕まえればいいんだろ?」
「話じゃ術師だそうだぁ、気ぃ抜くんじゃねぇぞぉ!!!」
「わかってるし。いちいちうるせー」
先程まで上がっていた口角が一気に気分が萎えたのか下がり気味になる
でも・・・
「追っかけっこも悪くねぇんじゃね?」
その一言で2人は本気でフランを追い詰める。
投げつけられるのは奇妙な形の鋭いナイフ
切り込んでくるのは美しい光を放つ刃
かなりの実力の持ち主を1人で相手をするのはいくらフランでも体が持たなかった。
意識が朦朧とする中で綺麗な銀髪の男がフランを縄で縛り付けた
「急ぐぞぉ!!!」
「りょーかい」
そう。気づけば見知らぬ場所に居た
あの森の奥で連絡を待たねばならないのだ、急いで帰ろう・・・
そう決心して縄を抜ける。
息を潜めて扉に近づくと背後で声がした
「しししっ」
前髪で目が隠れている。でも口元で分かる・・・・
──きっと満面の笑みだろう。
「っ・・・!?」
「まさかヴァリアーに入るのが女だとわなー」
「はっ?何言ってるんですかー・・・意味わかりませっ!?んん、・・・・はぁっ・・・ちょ、やめっ」
不意打ちのキス。二人の間にに銀色の糸が引く
体に力が入らなくて抵抗もままならない
相手の手が自分の服にかかり、破られた
破られた衣服から除く肌はとても綺麗だった。
でも、目の前に居るのは・・・・男だった
「まぎらわしー外見してんじゃねぇよ」
スッと頬に当てられていた手がスッと離れる
やっと、開放された・・・?
「でも、お前ならアリかもなっ」
1度下がった口角がつりあがる。
「なっ」
彼に溺れるまであと少し
──愛の波の中で溺死させて・・・・