時を越えて花束をおくる

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じりじりと距離を詰めてくる
殺気を隠そうともせず露にさせ
どんどん表情が険しくなっていく
M K 5 !
まじできれる5秒前ってとこですかー?

「ちょっと急いでるんで、
 ミーはこれで失礼しますー」

こんな短気な人に話してもまともに聞いてくれるわけがない
長年の人生経験がそう語っている
沢田家へ駆け込もうとドアに伸ばした手を掴まれる
振り返らずに分かる。雲雀恭弥だ

「失礼な人だね。僕との話がまだだよ」
「ゲロー。勘弁してくださーい」

あぁ、やっぱり。
やはりそうなのか
じっと見つめてくる視線はカエルの青い目と合っている
決してフラン本人の目ではなく、被りものである帽子
フランが本体でカエルは帽子なのに

「日本の礼儀は相手と目を合わせて
 話すんじゃないんですかー?」

失礼ですよーと、小首をかしげ
捕まっていない手で自分の目を指差す
数秒沈黙が続いたものの言葉の意味を
やっと理解した雲雀は目を見張って驚いた
『お前カエルじゃないのかよ』とでも言いたげな顔
どんだけ失礼なんですかー、あんたは。

「カエルじゃないなら学校に通いなよ」
「生憎ミーは学生卒業済みですー」
「ワォ。どう見ても僕より年下でしょ」
「は?何言って、」

そこまで言って固まった
朝から違和感は感じていた
昨日は小さく感じたTシャツ
そして何より中学生であるはずの雲雀恭弥を
下から、見上げているのだから
自分の身長が高いと思ったことはない
むしろもう少しくらいほしいと思う
でもここまで小さくはないはず・・・
急に考え込んだフランを雲雀は眉をしかめて様子を伺う
そして勢いよく家の中に駆け込んで洗面所へ向かった
輪郭が少し小さくなって、顔は幼さを増している

「な、んで・・・・」

続いて洗面所に入ってきた雲雀は
落胆する相手をよそに1枚の紙を手渡す

「それ、書いて明日応接室に来てね」
「なんですかコレ」
「入学手続きが必要だから」

それだけ告げるとスタスタと玄関へと歩いていった
未だに自分の置かれた状態が分からず
脳内は混乱状態。
訳も分からず自分を攻撃してしまいそうだ
遠くで沢田綱吉の叫びが聞こえた気がした

(今はそれすらもどうでもいい)
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