時を越えて花束をおくる

□引ったくり
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沢田綱吉を見送った後はとても穏やかだった
洗濯物を干す奈々さんを手伝ったり
作ってもらった朝食を食べたり
床においていたカエルを被ってるもじゃもじゃで遊んだり
こういうのがきっと休日ってものなんだなと思った

「フラン君ー?
 ちょっと私買い物に行って来るわね」
「あー、はい。わかりましたー」

そう言って出て行った奈々さん
会って2日くらいの他人を家に残して外出するなんて
ミーも随分信用されてますねー
無用心すぎですー

2階に上がって窓から見える空をボーッと眺めていると
床に転がった大きな黒光りするカエル
青色の大きな目がキョトンとこっちを見ているように見える
妙に目が合うのはやめて欲しい

「なんですかー。お前」

なんて言ってみるけど返事はない
あたり前だ。
生きてはいないのだから

何気なし手にとってみると改めてその重さを実感した
ほんっと重いですねーこのカエル
そこでふと考える。
もしかしたらこのカエルに内蔵された無線
未来と繋がるかもしれない
そう思いカエルを頭に被ったその時

「きゃぁああ!!!!」

奈々さんの悲鳴が聞こえ2階の窓から飛び降りた
すると家をちょっと出たところで
奈々さんが地面に座り込んでいた

「どうしたんですかー?」
「ひったくりが、」
「ひったくり?」

道の先のほうで男が振り向いてニヤリと笑った
地面を蹴り一瞬で犯人に追いつく
全身を黒で統一している男

「こんな格好じゃかえって目立ちますよー?」
「なっ!?」

軽く頭部を殴るとパタリと気絶した
ゲロ弱ですねー
まぁ、日常生活で強者がまぎれてたら
それはそれでビックリですけどー
男が持っていたカバンを取り返して
奈々さんに渡せば驚いた顔でこちらを見た

「フラン君、足が速いのね」
「いやーそれほどでもー」
「ありがとう。助かったわぁ」

ほんわかした笑顔を残して
奈々さんは再び買い物に向かったので
家に入ろうとしたら邪魔が入った

「ねぇ、君」

後ろから呼び止められて
振り向こうとしたら殺気を感じて距離をとる
学ランを肩にかけ、その袖の部分に着いた『風紀』と書かれた腕章
つり上がった切れ長の目にさらりと黒髪が揺れた
静かな殺気とともに佇むトンファーを携えた少年
もしかして、コイツは・・・・

「学校はどうしたの?」

(ボンゴレ雲の守護者
      ──雲雀恭弥)

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