時を越えて花束をおくる

□密談
1ページ/1ページ

漆黒の夜空に満月が浮かび上がる
もう時刻は夜中でツナの部屋に賑やかさはなかった。
一緒に来ていた山本と獄寺は随分前に帰宅して寝静まっている
薄暗い室内に黒い影が起き上がり、ベランダの方へと足を向けた

「どこへ行く気だ」

ピクリと反応して動きが固まった
月明かりに照らされて浮かび上がったフランの顔。
その足元には小さい影が出来ていた

「いつまでも長居はできませんからねー」
「お前は一体何者なんだ」
「登場人物Aですー」

チャキ。
背後で銃が構えられている。それも頭蓋骨にだ
殺気だった気配を感じ取り、おどけたようにフランは向き直る

「ボンゴレには何もしてませんしする気もありません
 ただミーは、この場所から立ち去りたいんですー・・・」
「そんなんが通じるとでも思ってんのか。
 ボンゴレのことを一般人が知るわけねぇ」

可愛らしいイメージの赤ん坊からかけ離れた姿
心に重くのしかかる声
全てが、存在が、普通じゃない

「それにお前の着ていた服の刺繍。
 あれは、ヴァリアーのものだった」

うわー。これじゃ言い逃れできないじゃないですかー
ヴァリアーですけど何か?なんて言えば瞬殺だろう
ここで白をきりとおすのも危険すぎる
どの選択肢を作り、選ばなければいけないのか

「お前はしばらくここの居候決定だ」
「・・・は?」

危険分子を傍に置いとくなんてどんだけ馬鹿なんですかー?
おっと。物騒ですねー
無言で銃を突きつけられて何も持っていない両手を挙げた

「俺は読心術が使えるぞ」
「プライバシーって言葉知ってますー?」

ていうか、読心術なんて便利なものがあるなら
今すぐミーの考えを読んでもとの時代に返してください
それぐらい出来そうな気がしますー

呪われた赤ん坊──
     アルコバレーノですしねー

人間離れしたことぐらいできそうだ
あまりこの環境に居たくない
今までの自分が全否定されているこの場所に

(温かすぎる優しさは気持ち悪いから)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ