時を越えて花束をおくる
□目覚め
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すずめのさえずりが意識の端で聞こえる
目だけを上に動かして枕元にある目覚まし時計が視界に映る
針は5時30分を示していた。
あぁ、起きないと・・・・もう5時半なんて
早く仕度して行かないとベルセンパイに朝食全部持っていかれますー・・・・
上半身を起こそうと体に力を入れたときに走る違和感が背骨を伝って全身にその流れは伝わる
やっと起こした体で足元を見れば、この部屋の主が居た
ミーはなにボケかましてたんでしょー・・・
昨日はいきなり変な世界に飛ばされた。そこは10年前の10代目ファミリーがいるところだった
つまりタイムトラベルをしてしまったということ
成り行きで宿無しのミーを心優しい奈々さんが10代目の家に泊めてくれたんですよねー
ツナが床で寝ているのは招かれざる客、フランのせい。
やっと家庭教師がハンモックで寝るようになったのに今度はいきなり現れたやつにベットを奪われて床で寝るしかなくなったしまったのだ。
ふぅとため息をつくともう一度ベットに横になるフラン
ここは、あんなに物騒な場所とは違って平和ボケしているんだ
朝食がなくなるなんてことは無いだろう。そう考えて瞼を閉じた
◆
さっきとは違って騒がしさで目が覚めた
すぐそばではあわただしく制服に着替えている沢田綱吉の姿があった
「おはよーございますー」
「あ!起きたの?おはよう!!俺下でご飯食べてるから着替えたら降りておいでよっ」
バタバタ部屋から出て行ったと思えばどうやら階段から落ちたようだ
本当にあんなのがボンゴレ10代目なんでしょうかー?10年で人はあんなにも変わるんですねー・・・
さて、着替えろといわれたのだから着替えるのだが・・・・
「まさか、コレを着ろって言うんじゃないですよねー・・・」
あたりを見渡しても他に無いので仕方なく袖を通した。
腕を上げたりするたびに走る違和感。
一体何なんだ・・・
それに気づくのはすこし後の話・・・・
多分、沢田綱吉のものだと思われるオレンジ色のTシャツに黒いジャージを身に着けて階段を下りた。
キッチンでは鼻歌を歌いながらご飯を作っている奈々が居た
フランに気づいた奈々は太陽のような笑顔を浮かべて「おはよう」と、挨拶をしてきた
「おはよーございますー・・・・」
「ふふっ、よく似合ってるわ〜!!ツッ君の服♪」
「そうですかー?」
やっぱり沢田綱吉のでしたかー・・・ミーは似合ってるなんて全然思いませんが?
それにすこし小さい。まぁ、沢田綱吉が小柄だから仕方ないんですけどー
愛想笑いをしてテーブルにつくともじゃもじゃが朝食をむさぼっていた。
何ですかー・・・この変な物体。ってか生き物はー
「朝ごはんはー!全部ランボさんのものだもんねぇっ!!!」
は?ちょ、今なんて言いましたー?こいつ・・・
「あっ!ランボ!!それフランのだから食べちゃ駄目だって!!」
「ツッくーん?もう時間じゃないの?」
「あぁっ!!!早く行かないとーっ」
ピンポーン
「10代目ーっ!!おはようございます!!な、野球馬鹿」
「おはよっス。今日も朝から獄寺は元気なのなっ」
「テメェに言われたくねぇよ!!!」
騒がしい。頭が痛くなる・・・フランは軽いめまいをおぼえた
ヴァリアーもヴァリアーだったけれどこちらも負け劣らず・・・
賑やかだ。
◆
ツナは慌しく家を出た。アルコバレーノの姿は朝から見えなかった
結局朝ごはんをとられたフランはツナの部屋に戻った
奈々さんは申し訳なさそうに謝っていたが、どうやら用事があるのでもう一度ご飯は作れないらしい
でもぶっちゃけ作ってもらったとしても食べれる気がしない。
「ゲロー・・・・・・」
気分が悪い。胃の中に入っている内容物が一気に押し寄せてくるような・・・
頭もボーッとして体中が熱を放っている。
やっと二階にたどり着いた瞬間フランはベットの近くで足から崩れた
「ったぁ・・・・うっ」
本当、何なんですかー・・・こっちに来てから体調が思わしくない。
骨の芯がズキズキ痛む、軋むように、音を立てて
「あ・・・・っ、ぅう・・・・」
足が、膝が、腕が、指が・・・全てが外れて。千切れそうなぐらいの痛み。
むしろこれが原因ならば千切って欲しい。痛みを取り除いて欲しい・・・
床にうずくまって、痛さのあまり零れる涙が頬を伝った
(こんなに痛いなら死んでしまいたい)