With

□フランと幻影
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妹に聞けば分かる。そう言い放ったあの人はうちの隊長に似てると思った
妹さんってことは女の人ですよねー
沢田綱吉の捜索中はっきり言って迷子になってしまったヴァリアーの新米幹部であるフラン
さっさと10代目ボスを見つけてセンパイたちと合流しましょー、という結論に至った
バラ庭園の温室的なところ
きっとあのひとが言っていたのは此処だろう

「すみませーん」

間延びした声が背後から聞こえたので振り返る。

「え?」
「はひっ?」

ロングヘアーに少しオレンジっぽい髪色の女の人は、聞いていた容姿的に間違いなさそうですねー

「あのー、ボンゴレ10代目ってどこにいるんですかー?」
「ツッ君?どこに居るかハルちゃんしってる?」
「えー・・・ツナさんは、どこでしょう・・・・」

どうやら妹さんもその友達も分からないみたいですねー

「そうですかー。それじゃ、しつれいしまっ・・・!!」

くるりと後ろを向いて歩き出そうとすると自分の目の前の人物にぶつかりそうになった

「おーぶなかったー」

彼女が手にしていたお盆には紅茶やクッキーが置かれており、ぶつかっていたら今頃大変だっただろう
そして彼女の顔を見たフランは目を見開いた直後に怪訝そうな顔をした
相手も、大きな瞳をさらに見開いて驚きの色が伺える

「クロームちゃん!!そうだっ!クロームちゃんはツナさんがどこに居るか知ってますか?」
「・・・・・ボス・・・・たぶん屋敷に居ると思うけど・・・・・」
「わかりましたー。ありがとうございますー」

あまりここに長居したくない。
だって───

「クロームちゃん・・・それって・・・!」
「クッキー。作ってみた・・・・前、おいしいって言ってたから。・・・・・・・・・。」

そしてフランの顔をじーっと見つめ始めた

「なんですかー・・・・?」
「よかったら、食べる?」

立ち去ろうというのに。でもせっかくの申し出を断るのは失礼だと師匠も言ってた気がしますー・・・だから。

「いただきますー」

ご一緒することにしましたー。
パクッサクサクサク・・・・・・サクサク。ゴクリ
クッキーをかじる音だけが聞こえる

沈黙。

それだけクロームの作ったクッキーがおいしくて黙々と食べていた

嗚呼。ミーはこんなところで何やってるんですかー
沢田綱吉を捕獲しないといけないんですよー?

「クッキーおいしかったですー。それじゃミーはこれで」

何度目なのかここを立ち去ろうとしたのは

「!!・・・・・待って」

パシリと腕をつかまれる

「クロームちゃん?」
「骸さまが・・・・・・呼んでる」

やっぱり。

「ミーは急いでるって師匠に伝えてくださーい」
「あっ」

軽く手を払い足早に立ち去った
やっぱり守護者だからこの屋敷にいてもおかしくない、クローム髑髏。
ボンゴレ霧の守護者六道骸の代役

・・・・そしてその六道骸はミーの師匠で、今目の前に居るナッポーヘアーの変態ですー

「ストーカーですかー?」
「僕の可愛いクロームに手荒なことはやめてくださいね?フラン」
「軽く手を払っただけですよー・・・」

師匠は・・・・・・苦手だ
クフ。クフフと、癖のある笑い方をする
何なんだ。

「ミーは急いでるんですけどー」
「久しぶりですねフラン」

無視ですかー

「少しは腕を上げたんですか?」

まぁそれなりに。

「僕はまだ少ししかこちらには来れませんからね。久しぶりに弟子の顔を見れてよかったです」

すこし曇った顔でポツリと言った最後の言葉が・・・・妙に腹立つんですけど

「師匠ー・・・・」
「なんですかフラン?僕が恋しくなりましたか?クフフ・・・・」
「ミーたちが・・・・ミー達が。師匠を脱獄させてあげますから・・・・だから待っててくださーい
 犬ニーサンやみんなで。助けてあげますー」
「それは心強い。それを楽しみに待ってますよ・・・・・クフフフ」

ザァッと霧がはれるかのように骸は姿を消し、代わりにクロームがスッとあらわれた

「じゃ、またいつかーですねー」
「・・・・・骸様をっ!!」

ピタリと足を止め振り向かずに聞く

「骸様を・・・・・・一緒に、助ける・・・・・!!犬も、千種も・・・・・・あなたも、一緒にっ」

精一杯の気持ちを込めて
仲間とともに、師匠。彼方を必ず───
そしてフランは屋敷に向かった

(やっぱり師匠は苦手ですー)
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