Madness

□せんにゅう
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お昼休みはとっくに終わって掃除の時間を告げるチャイムが鳴り響いた
自分の持ち場は4階の階段とその踊り場
ほうきと塵取りを両手に持ったクラスメートが来る前に教室を飛び出した
きっと周りから見れば真面目に掃除するべき場所へと向かう
真面目な生徒に見えていただろう、それが沢田綱吉でない別の誰かなら

今日はどこに隠れよう・・・・・・。

以前ばれた事のある体育館裏は絶対行きたくない
とは思ったもののほとんどの場所が経験済み。
考えをめぐらせているうちに階段を昇っており
気づけば屋上の扉の前だった
そういえば、屋上はまだだったかも・・・・

重たい金属のこすれる音がして開いた扉
瞬間、刺さる太陽の光に目がくらむ
広がる大空は青くて、青くて、澄んでいた
自分の存在が虚しくなるような空だった
もしここに誰かが来ても見つからないようにと
災害用の貯水タンクのはしごに足をかける
足元ばかり見ていた綱吉の上へと丸い影がおちて
反射的に脅えた顔をして見上げれば、最強の男が不機嫌な表情で見下ろしていた



幸いなことに掃除をV類の生徒は清掃員に任せるため、練習する場所へと移動し始める
人は少なくなるから人目につかず行動できる!

「あれ、なんでこっちにU類?」
「さぁ?」

見つかった!?
でも特に私たちのことを気にするわけでもなく通り過ぎようとしていた
それにしても制服の色が違うと目立つよね・・・

「クロームちゃん、どうしようか?」
「ごめん、」
「なっ!?クロームちゃん!!」

ひゅっと、素早く音を立てずに走りさっき横を通った
吹奏楽部の女子生徒2人を怪我しない程度に後頭部を殴り気絶させた

「え、何やって・・・」
「制服、借りたら大丈夫」
「・・・・・そ、だね」

悪いとは思いつつも服を拝借した。
あ!ちゃんと私達の制服を着させたから真っ裸じゃないよ!!
これで東館をうろついても不審がられない!!
T類の漆黒な制服ともU類の真っ白な制服とも違う
ベージュでまとめられた大人っぽい制服にドキドキしたことクロームちゃんには内緒。
平静を装って堂々と校舎へと侵入して警戒しつつフランのいるだろう部屋へと進む
V類の生徒は移動を済ませたのか、びっくりするくらい誰も居ない廊下は静まり返っていて
こんな簡単に潜入できるとは思いもしなかった
窓の無い部屋はあたり前だけど入り口のドアは頑丈に出来ていた
鍵も彫刻が彫られたりして専用のものでしか
開かなそうでぶち壊して強行突破も難しいだろう

「安心して・・・・」

そう言ってクロームはポケットから奇妙な形の針金を取り出して見せてくれた

「まさかクロームちゃん・・・!」
「ずっと前に骸様が教えてくれたから」

長い睫毛に覆われた瞳の中が揺らいでいた
きゅっと唇をかみ締めてドアへと顔を寄せた
いやいやいや!!そんな針金で開くわけ!
ムクロ様って人は本気で教えたんだろうか?
クロームの後ろであわあわしていると
静かに鍵から音が響いた、がちゃん。
え、もしかして・・・・

「できたよ」

恥ずかしそうに頬を赤く染めながらぎこちなく笑った
つられて笑うと穏やかな空気が漂ったが
ぶち壊す警報音が頭が割れる勢いで鳴った

「いそごう!」

コクリと頷いた彼女が開けた扉
床に大の字になって寝転がっているカエルくん
上の階が騒がしい、足音が近づいてくる
腕を引っ張っり無理矢理立たせて
3人は逃走劇を開始した

(鬼さんこちら!)

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