霧がはれたその先に

□強敵出現
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爆発音が耳に届く
あの方角は、ベルたちかぁ・・・!!
黒い煙が絶え間なく登りたっていく
凄まじい戦闘を繰り広げてるに違いねぇ
雑魚数人としか戦っていないのであちらが羨ましい
そう思ったとき何かが迫ってくる気配がした

「何だぁ?」

鬱葱と生い茂る木々の隙間から人影が見える
降って来る。物凄い勢いで
降って、きた・・・・!

「報…告、します…」
「なっ!!誰にやられたぁ!?」

体中傷だらけにところどころに枝がぶっ刺さっている
きっと落ちてくるときにそうなったのだろう
ボコボコにされた部下を見つめる瞳には
驚愕と嬉々が読み取れる
誰にやられたのか気になる。
その相手は強い手練だろうか。

「ザンザス様です…」
「だとぉ?」

ふざけてんのかあのクソボスがぁあ!!!
確かにザンザスは強い
だが今は見方と殺りあってる時じゃねぇ!
さっきまでの気持ちは一気に崩れ去っていた

「肉が食べたいらしいのですが、できず…」
「なぁ!?最高級のラム肉を持ってきたはずだぞぉ!!」
「そ…それが…牛肉を、食べたかったらしく…」
「和牛のサーロインももってきたはずだぁ!!
 他のコンテナをよく探せぇ!!」

ここまで来ると自分はどこまで用意がいいんだ、と
我ながら感心してしまう。

「それが隊長…フィレ肉を食べたいとのことで…」
「そいつも持ってきたはずだぁ!!」

そして早くも3人目の犠牲者が同じ場所から降ってきた
またしても自然と会話に入り込んでくるのは
ヴァリアークオリティーだとか、そうでないとか

「それが…手がすべったとかで床に落として
 『こんなもの食えるか』と、」

ぷっちーん。

「あんのクソボス!!!このクソ忙しい時にッ」

堪忍袋の緒が切れた。
怒りを大爆発させたスクアーロは部下の前で
刀を振り回し荒れ狂う。
見方でさえ恐れて口が開けないほどだ
そんな時にタイミング悪く敵は現れる

「……う゛お゛ぉい・・・オレは今ムシの
 いどころが――悪いんだぁ!!!!」

敵の全てを一掃した後、遠く離れた場所で
大きな火柱が上がった
さっき見えたベルたちの場所から少しばかり遠のいた地点
まだ戦ってやがったのか。
早くケリつけやがれぇ!!

「そろそろ無線を耳につけろとボスに伝えろぉ!!」
『はっ(また半殺しにされると思うけど…)』
「う゛お゛ぉい!!!
 肉は後で何とかしいてやると言っとけぇ!! 」

スクアーロの命令に蜘蛛の子が散るように駆け出していった

…さぁて、6弔花がかかるのは、東か南か…



こいつ、本当に強い!!
どうしよ・・・・・死ぬかもしんない!!
木の陰から相手の出方を伺っているが
一向に仕掛けてこない。
もしかして撒けた・・・・・?
いや、でもこいつは倒さなきゃいけないよ!
逃げるな、逃げちゃだめだ!!
でもこの近くにもう居ないんだったら追いかけないと
一歩踏み出そうとしたときどこからともなく
あの狼の声が響き渡る

「ガルルル・・・・・」

居る!ものすごく近くに居る!!
私の居場所に相手は気づいてるの!?
どっちにしたって今出て行くのはすごく危険
我慢を制止たほうが、勝機を導ける・・・!

「早くみつけてくれへん?」

そう命じられた狼は標的を目指して一直線
やっぱり分かってたんだー!!
迷ってる暇はない。
とりあえず一旦幻術で姿を隠して
作戦を練ってから倒そう!
相手は雨属性みたいだから見破られる心配はないと思うし
サァと、霧の粒子になって姿を消した

「ゲッ、逃げられたんかよ・・・」

独り言を呟いて敵兵は狼の上にまたがった
しばらく待機を決め込んだようだ

(まだこの近くに居るわ!絶対)

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