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□震える手
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俺の周りにも非日常100%で構成されてる人たちがいっぱい居る
だから俺みたいなのは冴えなくて、皆みたいに誇れるところなんて無い
そんな中、集団できた転入生たち。
背が高くて同い年とは思えないような
・・・その、えっと・・・ボ、ボーンって感じの女子や
見るからに不良な人、貫禄があってただでは済まなそうな人
すっごい不思議で獄寺くん曰くUMAっぽい人
名前が葉っぱでお兄さんのケンカ友達や
噂ではパチスロに通ってるらしい人
それから、それから・・・・

震える手

「炎真くん・・・・!?」

俺が声をかけたのは転入生のもう1人
かけ離れた世界の人たちの中で俺と同じものを感じた
俺なんかと一緒にされちゃ失礼かもしれないけど。
下品な笑い方をしてその場を立ち去ろうとしている不良たち
その輪の中心で囲まれていた人物、古里炎真くん
6時間目までは薄汚れていたくらいだった制服は
ズタボロになっていて、傷だらけの身体
一番酷いのはこの寒さの中、全身ビショビショだった。

「なんでこんなこと!!」
「さっきの暇人がバケツの水をぶっかけてきたんだ」
「そんな・・・・・」
「それじゃ、」

一言そう告げるとぶちまけられた荷物を拾い
すぐに背を向けて歩き始めて──転んだ

「ちょ!炎真くん!?」

急いで駆け寄ると手足は震えていて顔は真っ青
このままじゃ風邪をひいちゃう!!

「大丈夫だから・・・」

手を差し伸べようとしたら冷え切った手で払われた
恐さと寒さで震えてて、文句も言わずに一人で耐えて

「全然大丈夫なんかじゃないだろ!!!」
「ツナ、くん・・・・」
「あ、いや、ごっごめん!!怒鳴ったりして」

ちょっと気まずくなって視線を彷徨わせて
最後は自分の足元に目をやった。
そっと顔を上げて炎真くんの方を伺えば吃驚した顔をしていた
それから力なく笑って俺の手を握って立ち上がる

「ちょっとうるさいけど、俺の家に来る?
 そのままじゃ寒いだろうし・・・」
「そんなの悪いよ」
「全然いい!!俺がそうしたいんだっ」

冷えた身体を温めるまでは出来ないけど
ブレザーを脱いでそっと肩にかけた。
うわっ、寒ッ!!!
でも炎真くんはもっと寒いんだ
もう一度さっきより冷たくなった手を強く引いて自分の家へと歩き出した
よろけるような形で一歩を踏み出した炎真は不思議そうな表情でツナの背中を見つめていた

「家に着いたら一緒にコタツに入ろう?
 きっとすぐにあったまるよ!」
「うん」
「それから多分ミカンもある」
「そっか」
「チビたちが絡んでくるかも・・・」
「気にしないよ」
「炎真くん、動物好き?」
「うん・・・!」

きっといい友達になれる。
そう思ってたのは、俺だけだったのかもしれない
でも、あの時間は嘘じゃないとも感じる
だから余計に切なくなるんだ・・・・。

君の姿は表裏一体。
こっちが偽者、どっちが本当?

(お互い手探りだけど)
(ゆっくり距離を縮めれたら・・・いい、)

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