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□不安定
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不 安 定
夏の残暑がときどき顔を出して
うだる様な暑さに干からびそうになる。
時折肌寒くなる日には急に寂しくなって
無駄に廊下を歩き回ってみる。
──そんな季節
ふと思い出す、自分のことを
自分が立っているこの立ち位置は仮初なのだと
今まで揉めていたミルフィオーレのことも片付いた
元から代わりだった、穴埋めだった
忘 れ ら れ て し ま う
ヴァリアー霧の幹部には前任が戻って
それから、ミー・・・・は?
今日は久しぶりに訪れた夏の日
汗が額から垂れ落ちてくる
冷房をつければ一発で解決なのだがあえてそれをしない
水分補給も全くせずにずっとソファに横たわっていた
このまま暑い密閉された空間に居たら死ねるはず
師匠は無事に脱獄させたし、もう自分の存在意味はない。
未来が変わって、みんなの記憶から抜け落ちてしまうくらいなら
そんな存在なら、自分から消えたほうが楽だ。
「1人くらい、悲しんで・・・・くれますかねー?」
残りわずかの水分を目から零れ落とした
頭には強力な麻酔がかかったみたいにどんどん重くなっていく
クラッときた瞬間視界が真っ暗になった
霧の幹部は1人で十分ですー
あなたの居場所を少しの間だけ借りてました
だからちゃんと、今日返します。
(遠くで堕王子の声がした)
『短かったけど・・・楽しかった、ですー』