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□心に秘めた恋
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俺には好いとる奴がおる。
そいつは俺より頭が良くて俺より背が高くてペテン師と呼ばれる俺よりペテン師だ。
初めてあった時俺はそいつの事が嫌いだった。
誰にでも優しく誰にでも本心を見せないあいつが大嫌いだった。
でもいつからだろ。
あいつを尊く想うようになったのは。
いつからだろう。
あいつに好かれたいと想うようになったのは。
いつからだろう。
あいつに好きって伝えたいと想うようになったのは。
そう、俺は性格も見ためも真逆な紳士と呼ばれる柳生比呂士に恋をしている。
ちょうど一年前テニス部の三年生が引退して幸村が部長になって初めての部活で俺は参謀こと柳蓮二に呼ばれた。
「仁王ちょっと良いか。お前に話したい事がある。」
「なんぜよ。ちゃっちゃと終わらせてくんしゃい。俺は参謀と世間話するほど暇じゃないぜよ。」
「まぁそう慌てるな。お前に話と言うのはダブルスを組んで欲しいと言う「嫌じゃ。何で俺がダブルスなんぞ組まないといけん!お断りするぜよ。」
「まぁそう力むな。これは決定事項だ。精市や弦一郎と話して決めた事だからお前に拒否権はない。それにお前とあいつが組めば確実に負けないという確率も出ている。やってくれるな仁王。」
「…………。」
「ハァ…。諦めろ仁王。いくらお前でも精市には勝てない「誰ぜよ。俺のパートナーは。」
「柳生比呂士だ。お前も一度は聞いた事あるだろ。」
「あの地味な七三メガネかぁ。やる気せんのう。まぁやるだけやってみるかのう。」
「そう言って貰えると私も嬉しいですよ。仁王雅治君。」
突然参謀や俺の声ではない声が聞こえ俺はビックリしてしまい座っていた椅子から落ちてしまった。
「おや大丈夫ですか?すみません驚かせてしまいましたね。」
そういって背の高い七三メガネは俺に手を差し出した。
「お前の手なんか借りんでもたてるわ。」
「そうですか。なら早く立ちたまえ。制服が汚れるではないですか。」
「本当に嫌みな奴じゃな。俺の心配より服の心配か?やっぱり辞めじゃ。こんな奴と組みとうない。」
「私も同感です。いくら決まった事とはいえこんな人とは組みたくありません。」